がん関連血栓症 cancer associated thrombosis;CAT

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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癌に伴う血栓症は,外来化学療法症例の死亡原因の第2位に位置し,その頻度は近年増加傾向にある.

病態

癌における血栓止血のシステムは,癌の増殖や転移に関する複数の機序が存在し,凝固線溶系に強く作用することで血栓が形成される.

がん組織の増殖に伴うMETがん遺伝子発現
低酸素状態
持続する炎症状態により惹起されたがん由来組織因子(tissue factor;TF)などの凝固促進因子
→凝固カスケードを惹起し,血栓を形成する.

がん由来接着分子
接着分子と共に凝固促進活性を有するマイクロパーティクル(maicroparticle;MP)として血中へ放出される.

炎症性サイトカイン凝固促進因子
癌が転移する際には,癌細胞が産生する炎症性サイトカインが血管内皮細胞や血小板を活性化し,MPと共に原発巣と離れた部位に血栓を形成する.

癌細胞は癌細胞の表面に形成した血栓を盾にして免疫機構を潜り抜け血管内を移動し,準備された血栓部位に接着し,組織へ侵入する.
→凝固系のみならず,PAI-1(plasminogen activator inihibitor-1)などの線溶系にも作用し,全身に及ぶDICに伴う微小循環障害といった複雑な病態を示す.

がん関連静脈血栓塞栓症 cancer-associated venous thromboembolism;CAVT

癌とVTEは密接に関連しており,癌患者の約10~20%にVTEが発症する.
・非癌患者の4~7倍.
・VTE患者の危険因子のなかでも最も多い.

発症率が高い腫瘍部位は,肺癌→大腸癌→造形系癌→子宮・子宮頸部癌→胃癌→卵巣癌→膵臓癌→前立腺癌→乳癌→腎臓・膀胱癌→肝胆癌→脳腫瘍
・組織学的には腺癌の頻度が高い.
・転移を有する病期進展症例に多い.
・高齢者,女性,心/肺/腎などに合併症を有する症例,血栓塞栓症の既往を有する症例で発症頻度が高い.

病態

血流のうっ滞(血流異常)
・長時間の臥床(術後など)
・腫瘍/腹水による静脈圧迫

血液成分の変化(凝固異常)
・悪液質に伴う脱水状態/栄養不良
・がん産生物質による凝固異常
・術後凝固異常
・輸血/エリスロポエチン製剤
・抗がん剤による凝固異常

血管壁の異常(血管内皮障害)
・癌による直接浸潤
・癌産生物質による血管内皮障害
・血管内留置カテーテル
・抗がん剤(血管新生阻害薬など)による血管内皮障害
・放射線療法による遅発性血管障害

治療

欧米での標準治療薬は低分子量ヘパリン(low molecular weight heparin;LMWH).
・Ⅹa因子阻害と共にTF経路阻害薬をもつ.
→がん誘発性血管新生阻害作用,がん細胞性ヘパラナーゼ阻害作用,接着因子に対する阻害作用,血小板を含めた血液凝固抑制作用など
*本邦では認められておらず,静脈薬として未分画ヘパリン・フォンダパリヌクス,経口薬はVKA・DOACが承認されている.

治療に際しては,抗凝固療法を行っていても再発しやすい反面,出血も生じやすい.
・非癌患者に比べ,VTE再発率は約3倍,出血頻度は約2~6倍.
・活動性癌を有している患者では,抗凝固療法中止後の再発率が高いため,長期継続が必要.

維持療法として,ビタミンK拮抗薬(vitamin K antagonist;VKA)or DOACが投与される.
・急性期出血リスクが高い場合はLMWH.
・DOACの予防的投与は本邦では認められていない.

がん関連動脈血栓塞栓症 cancer-associated artrial thromboembolism;CAAT

脳血管障害,心筋梗塞,末梢動脈閉塞症

NBTEやDICを合併し脳梗塞を併発することから,Trousseau症候群として知られていたが,1%未満の比較的稀な合併症だった.
しかし,最近は4.7%と高頻度で認められるようになっている(血管新生阻害薬などの血管障害が強い薬剤の登場や,高齢化に伴う心房細動などの不整脈増加などが考えられる).

非細菌性血栓性心内膜炎 non-bacterial throbotic endocarditis;NBTE

播種性血管内凝固症候群 DIC

微小循環障害

血栓性微小血管障害症,肝中心静脈閉塞症

傍腫瘍性神経症候群 paraneoplastic neurological syndrome;PNS

がん治療関連血栓症

化学療法,放射線療法,免疫療法,造血幹細胞移植

頻度が急増している.

血管新生阻害薬

VEGFなどの血管新生因子を阻害する.がん免疫にも作用することが明らかになっている.

心毒性の機序

血管内皮障害に伴い血管内皮機能を維持しているNOやPGI2などの分泌が阻害され,エンドセリン(endothlin;ET)が産生される.
→微小血管の攣縮から機能的希薄(functional rarefaction)による不可逆性の血管障害を来たす.
→中大血管において血管内プラークを形成
→血栓閉塞症などの重篤な動脈硬化性変化

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