Bartter症候群,Gitelman症候群

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なすび医学ノート

Bartter症候群(バーター) Bartter syndrome;BS
Gitelman症候群 Gitelman syndrome;GS

遠位尿細管障害によるNaClの再吸収障害で,低K血症とアルカローシスを起こす.

Bartter症候群は原因遺伝子によって5型に分かれ,いずれも小児期に発症することがほとんど.

Gitelman症候群はBartter症候群の亜型で,成人領域で比較的頻度が高い.

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

Bartter症候群

二次性アルドステロン症の一つであり,アルドステロンの産生増加によって低カリウム血症を呈する.

なすび院長
なすび院長

浮腫も高血圧もないのに,RA系の亢進があるという点が特徴.

①低K血症,代謝性アルカローシス,腎の傍糸球体装置の過形成,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の亢進を示すが,血圧は正常で浮腫がない.
②アンジオテンシンⅡに対する昇圧反応が不良.
③慢性下痢,習慣性嘔吐,神経性食思不振,下剤・利尿薬の乱用はない.
(これらの原因がある場合は,偽性Bartter症候群と呼ばれる).

病態

1996年に1型NKCC2,2型ROMK,3型ClC-Kbの3種類の太いヘンレループの尿細管上皮細胞膜に発現するチャネル,トランスポーターをコードする遺伝子変異で発症することが示された.

1型BS

病因遺伝子:SLC12A1
蛋白:NKCC2
羊水過多:あり
成長障害:新生児期
尿濃縮機能障害:++
腎石灰化:あり
末期腎障害:あり
血清Mg:正
尿中Ca:高
発見時の年齢:胎児期
合併症:なし

フロセミドの作用点であるナトリウム,カリウム,クロライド輸送体NKCC2をコードする遺伝子SLC12A1の異常により発症する.

新生児型を呈することが多く,ほとんどの症例で出生前より羊水過多を指摘され,早産低出生体重で出生する.

その後,成長障害を伴いやすく,多飲多尿,感冒時に発熱,嘔吐,脱水などの症状をきたしやすく,しばしば入院加療を要する.

高カルシウム尿症,腎石灰化を認め末期腎不全へ進行することもある.

2型BS

病因遺伝子:KCNJ1
蛋白:ROMK
羊水過多:あり
成長障害:新生児期
尿濃縮機能障害:++
腎石灰化:あり
末期腎障害:あり
血清Mg:正
尿中Ca:高
発見時の年齢:胎児期
合併症:胎児期,高K血症

カリウムチャネルであるROMKをコードする遺伝子KCNJ1の異常により発症する.

羊水過多,早産,低出生体重を認め,新生児型の症状を呈する.

出生後しばらく高K血症を認めることが知られており,生後3日目前後にピークとなり,生後7日目前後には正常値となると報告されている.その際,代謝性アシドーシスを伴う.

3型BS

病因遺伝子:CLCNKB
蛋白:CLC-Kb
羊水過多:約半数であり
成長障害:乳児以降
尿濃縮機能障害:+
腎石灰化:まれ
末期腎障害:あり
血清Mg:正~低
尿中Ca:低~正常~高
発見時の年齢:新生児,乳児期
合併症:

クロライドチャネルであるClC-Kbをコードする遺伝子CLCNKBの異常で発症する.

通常古典型に分類される.

4型BS

2001年に難聴を伴うBSの責任遺伝子が ClC-Ka・ClC-Kbに共通のβサブユニットであるBarttinをコードする遺伝子であることが報告され,4型BSと認知された.

病因遺伝子:BSND
蛋白:Barttin
羊水過多:あり
成長障害:新生児期
尿濃縮機能障害:+++
腎石灰化:なし(?)
末期腎障害:あり
血清Mg:正~低
尿中Ca:低~正常~高
発見時の年齢:胎児期
合併症:難聴

臨床経過が非常に重篤.

4B型BS

2004年に両親が血族結婚の家系でClCKa遺伝子のホモ接合体変異とClC-Kb遺伝子の全域のホモ接合体の欠失を認め,Barttin 遺伝子には異常を認めなかった症例で4型BSと同様の臨床像を示した症例が報告された.

病因遺伝子:CLCNKA and KB
蛋白:CLC-Ka,CLC-Kb
羊水過多:あり
成長障害:新生児期
尿濃縮機能障害:+++
腎石灰化:なし(?)
末期腎障害:あり
血清Mg:正~低
尿中Ca:低~正常~高
発見時の年齢:胎児期
合併症:難聴

臨床経過が非常に重篤.

治療

根治療法がなく,対症療法が中心となる.

低K血症の是正

カリウム製剤,インドメタシン,スピロノラクトンなどの単独or併用投与が行われる.
・カリウム補給についてはアルカローシスが同時にあるので、KCL(塩化カリウム徐放剤:8mEq/l、6~12錠)がアスパラギン酸Kよりも望ましい。
・効果不十分な場合,抗アルドステロン薬のスピロノラクトン(25mg/錠、2-12錠)も使用される。

インドメタシン

インドメタシン(25mg/錠、3~6錠)は腎のプロスタグランジン過剰産生を是正し,レニン刺激などを抑制する効果が期待できる.

成長ホルモン補充療法

成長障害に対して

Gitelman症候群

遠位尿細管のNa-Cl共輸送体の異常によっておこる.

低K血症とともに低Mg血症を引き起こし,尿中のCa排泄が低下することがBartter症候群と違う.

病因遺伝子:SLC12A3
蛋白:NCCT
羊水過多:なし
成長障害:なし
尿濃縮機能障害:±~+
腎石灰化:なし
末期腎障害:非常にまれ
血清Mg:低
尿中Ca:低
発見時の年齢:学童期以降
合併症:

原因

遠位接合部尿細管におけるThiazide-sensitive Na-Cl cotransporter(NCCT;遺伝子はSLC12A3)の異常

NCCTは遠位接合部の管腔側に存在し,尿細管腔から尿細管細胞内にNaとClを再吸収する.
→Na+とCl-の再吸収が障害され,より遠位の集合尿細管に達するNa-Clが増し,Naが再吸収され,K・水素イオンなどが排泄され、低K血症性アルカローシスを生じる.

全尿細管で再吸収されるNaの約30%がHenle上行脚太い部で再吸収されるのに対して,接合尿細管からの吸収は約7%に過ぎないため,Bartter症候群に比べ程度は軽い

接合尿細管では尿細管腔からMgを再吸収し,尿細管腔にCaを排泄する.
→接合部尿細管のNCCTの障害は,Mg再吸収を抑制し低Mg血症を,尿中へのCa排泄を減少させて低Ca尿症・血中Ca濃度の軽度上昇を起こす(詳細は不明).
・尿細管細胞内のNaは減少傾向であり,血管側膜のNa+・Ca+交換輸送体が作用し,管腔よりカルシウムを汲みあげ,尿中Ca排泄が低下すると考えられている.
・Mg排泄増加の機序としては,Na+・Cl-の再吸収障害により,尿細管細胞が脱分極傾向になり,Mg再吸収が減少する可能性が考えられている.

症候

多くは思春期以降に顕著となるが,中年以降に診断される場合もある.

低K血症による筋力低下・脱力発作・多飲・多尿などがみられる.

血圧正常で浮腫は認められない。

慢性の皮膚炎がみられる.

Bartter症候群に比べ,細胞外液量の低下や集合管へのNa負荷量が少なく,循環血液量の低下や代謝性アルカローシスなどによる臨床症状,低K血症,血液pHの上昇などの検査所見も軽い.

低K血症、低Mg血症

血漿レニン活性、血漿アルドステロン濃度は高値

アンジオテンシンⅡ静脈投与による昇圧反応の低下が認められる.

最大水利尿時のサイアザイド系利尿薬に不応性であることが確定診断となる.

Barter症候群との鑑別は難しく,遺伝子診断が有用.

治療

Bartter症候群と同様に行うが,程度が軽いことが多い.

低Mg血症が認められた場合には低K血症を増悪させているため,補充が必要.
→酸化Mgと硫酸Mgを投与.

Mgの補充のみで低K血症が改善しない場合は,カリウム製剤,抗アルドステロン薬を投与する.

なすび医学ノート
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なすび院長

医療に疲れ、現場から離れたどろっぽ医ε- (´ー`*) フッ
ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
医学勉強などの日々のことをまとめています。
なんちゃって内科・糖尿病・腎臓病専門医です!(゚∀゚)

健康が一番の節約になる!これがモットー。
健康のためには、「自分を大切にすること」「生活習慣を見直すこと」「健診を受けること」が3本柱です!

妻:りんご夫人
長女:いちご
次女:れもん
事務長:かえる

もう少しで3児の父。とにかくかわいいε- (´ー`*)
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