細菌性髄膜炎 bacterial meningitis

医学ノート(なすび用)

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病原性細菌が脳軟膜に感染増殖した結果,引き起こされた髄膜炎で,急性化膿性髄膜炎とも呼ばれる.

化学療法の発達した現在においても,しばしば致命的であり,重篤な後遺症を残す.

病態

軟膜,くも膜に感染が起こり,多数の多核白血球がリンパ球,単球,形質細胞を混じえ,滲出液とともにくも膜下腔へ広がる.

脳実質には皮質の充血,ミクログリアの反応,白質の浮腫などがみられる.

病原菌

年齢によって主要起炎菌が異なり,3か月未満では,大腸菌,グラム陽性菌が多く,3か月以降の乳幼児においてはインフルエンザ菌が最も多く,成人では肺炎球菌,髄膜炎菌,老齢者ではグラム陰性桿菌の頻度が高い.

基礎疾患による起炎菌については,脳室シャント術後のブドウ球菌,免疫能低下時のリステリア菌などの日和見感染病原菌および頭部外傷後の肺炎球菌などが比較的多い.

Listeria monocytogenes(L. monocytogenes)

微好気性の通性嫌気性,室温で運動能(鞭毛)を有する無芽胞グラム陽性短桿菌.
・自然界に広く分布し,特に土壌中や腐敗した野菜・水中・哺乳動物の便中の細菌叢に生息している.
→たくさんの食品がL. monocytogenesに汚染されている.
・冷蔵庫内の温度(4~10)℃でも良好な発育をする.

食中毒は健常人にも起こしうるが,敗血症や髄膜炎は細胞性免疫能の低下した患者に生じやすく,100~1,000倍の頻度で生じると言われている.
・世界的には50歳以上の細菌性髄膜炎としては肺炎球菌についで2番目に頻度が高い.
・リンパ腫,臓器移植後,ステロイドによる免疫抑制療法を受けている患者の細菌性髄膜炎では最多.

胃酸分泌抑制薬は,胃内のアルカリ化によりリステリア感染を促進させる.

感染経路

①菌血症による血行性経路
②隣接する中耳炎,副鼻腔炎などの感染巣からの直接侵入
③心・肺など他臓器の感染巣からの血行性

症候

発病は急性発症で,激しい頭痛,悪寒,発熱(38~40℃)とともに項部硬直,Kernig徴候などの髄膜刺激症状が認められる.

熱型は稽留熱で高熱が持続する.

せん妄などの意識障害,脳神経症状も出現する.

乳幼児,老齢者の細菌性髄膜炎では,髄膜刺激症状が典型的ではなく,易刺激性,錯乱あるいは持続する原因不明の発熱などが前景にでる場合がある.

jolt accentuation
・2~3回/secの速さで頭を横に振ったときの頭痛の増悪.
・髄膜炎での感度97%,特異度60%.
・NSAIDsなどの鎮痛薬が処方されていると陰性になる.

血液検査

赤沈の亢進,白血球増多を示す.

髄液検査

髄液所見は圧の上昇,混濁,時に膿性,蛋白は増加,糖の著明な低下(髄液糖/血糖値比0.3以下)がみられ,サイトカイン(IL-1,TNF-α,IL-6)の上昇を認める.

急性期の髄液細胞は多核白血球(桿状,好中球)がほとんどを占める.

経過とともにリンパ球,単球の出現をみる.

培養

髄液から菌を証明すれば確定的であり,まず,髄液沈渣の塗抹標本(グラム染色)において鏡検による起炎菌の迅速な検出が重要である.

治療前の培養,同定および抗生物質感受性を施行する.

治療

成人の致死率は20%前後とされ,生存者の約30%に後遺症を残すと言われ,迅速な治療開始が重要.

原因菌判明前(原因菌不明時)の初期選択抗菌薬

髄液移行性から第三世代以降のセフェム系抗菌薬が選択される.

市中感染で細菌性の場合,肺炎球菌とインフルエンザ菌および髄膜炎菌が原因菌であることが多いため,これらに有効な抗菌薬を選択する.

髄膜炎の経験的治療を行う際には,幼児・高齢者・糖尿病患者などリステリア菌感染のリスクがある患者に対してはアンピシリンの併用を検討する.

免疫能が正常と考えられる16~50歳未満

肺炎球菌60~65%,インフルエンザ菌5~10%

カルバペネム系抗菌薬(PAPM/BP or MEPM)
*効果が得られない場合は適宜VCMを追加する.

PAPM/BP=panipenem/betamipron

免疫能が正常と考えられる50歳以上

肺炎球菌が最も多い.
ブドウ球菌(MRSA含む)やリステリア菌もありうることを念頭に置く.

ABPCとVCMと第3世代セフェムの3剤併用
or
カルバペネム(MEPM)とVCMの2剤併用
*ESBL産生株が予想される状況ではカルバペネム系抗菌薬の併用が考慮される.

慢性消耗疾患や免疫不全状態を要する成人例

肺炎球菌を含むレンサ球菌41.1%,ブドウ球菌25.7%,緑膿菌5.1%

CAZとVCMとABPCの3剤併用
or
カルバペネム(MEPM)とVCMの2剤併用
*ESBL産生株が予想される状況ではカルバペネム系抗菌薬の併用が考慮される.

CAZ=ceftazidime

免疫能が正常と考えられる宿主の頭部外傷や外科的侵襲後の発症

ブドウ球菌55.3%,グラム陽性桿菌13.2%,グラム陰性桿菌13.2%

カルバペネム系抗菌薬(MEPM)とVCMの2剤併用

慢性消耗疾患や免疫不全を有する患者で,外科的侵襲を受けた場合

ブドウ球菌44.6%,レンサ球菌19.5%,緑膿菌8.3%

CAZとVCMの2剤併用
or
カルバペネム系抗菌薬(MEPM)とVCMの2剤併用

起因菌判明後

肺炎球菌

ペニシリン結合蛋白(PBP)に変異をきたしたペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)に対しても,セフェム系抗菌薬は選択されうる.

リステリア

セフェム系抗菌薬に親和性のないPBP を産生するため無効であり,第一選択はアンピシリンになる.

インフルエンザ菌

インフルエンザ菌はかつてはアンピシリンで治療が行われていたが,近年βラクタマーゼ産生菌の割合が増加してきている.
βラクタマーゼ阻害薬配合アミノペニシリン(βラクタマーゼ阻害薬は髄液移行性が悪いため髄膜炎には選択しづらい)や第三世代・第四世代セフェム系抗菌薬が選択される。

クレブシエラ

・アンピシリンに対しては自然耐性を示す.
・基質拡張型βラクタマーゼ(ESBL)などの強力なβラクタマーゼを産生していないクレブシエラ属菌に対しては,セフェム系抗菌薬は有効である.

緑膿菌

第三世代の一部(セフタジジム)や第四世代セフェム系抗菌薬は抗緑膿菌活性を認める.

ステロイド

基本的に抗生物質の投与の10-20分前,または同時に投与する.
デキサメタゾン 0.15mg/kg/6時間後 2-4日

すでに抗生物質が投与されている場合は,予後改善の根拠はなく,抗生物質投与後は推奨されない.

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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
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