細菌性髄膜炎 bacterial meningitis

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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○病原性細菌が脳軟膜に感染増殖した結果,引き起こされた髄膜炎で,急性化膿性髄膜炎とも呼ばれる.
○化学療法の発達した現在においても,しばしば致命的であり,重篤な後遺症を残す.

病態

○軟膜,くも膜に感染が起こり,多数の多核白血球がリンパ球,単球,形質細胞を混じえ,滲出液とともにくも膜下腔へ広がる.
○脳実質には皮質の充血,ミクログリアの反応,白質の浮腫などがみられる.

病原菌

○年齢によって主要起炎菌が異なり,3か月未満では,大腸菌,グラム陽性菌が多く,3か月以降の乳幼児においてはインフルエンザ菌が最も多く,成人では肺炎球菌,髄膜炎菌,老齢者ではグラム陰性桿菌の頻度が高い.

○基礎疾患による起炎菌については,脳室シャント術後のブドウ球菌,免疫能低下時のリステリア菌などの日和見感染病原菌および頭部外傷後の肺炎球菌などが比較的多い.

感染経路

(1)菌血症による血行性経路
(2)隣接する中耳炎,副鼻腔炎などの感染巣からの直接侵入
(3)心,肺など他臓器の感染巣からの血行性

症候

○発病は急性発症で,激しい頭痛,悪寒,発熱(38~40℃)とともに項部硬直,Kernig徴候などの髄膜刺激症状が認められる.
○熱型は稽留熱で高熱が持続する.
○せん妄などの意識障害,脳神経症状も出現する.
○乳幼児,老齢者の細菌性髄膜炎では,髄膜刺激症状が典型的ではなく,易刺激性,錯乱あるいは持続する原因不明の発熱などが前景にでる場合がある.

■jolt accentuation
・2~3回/secの速さで頭を横に振ったときの頭痛の増悪.
・髄膜炎での感度97%,特異度60%.
・NSAIDsなどの鎮痛薬が処方されていると陰性になる.

血液検査

○赤沈の亢進,白血球増多を示す.

髄液検査

○髄液所見は圧の上昇,混濁,時に膿性,蛋白は増加,糖の著明な低下(髄液糖/血糖値比0.3以下)がみられ,サイトカイン(IL-1,TNF-α,IL-6)の上昇を認める.
○急性期の髄液細胞は多核白血球(桿状,好中球)がほとんどを占める.
○経過とともにリンパ球,単球の出現をみる.

培養

○髄液から菌を証明すれば確定的であり,まず,髄液沈渣の塗抹標本(グラム染色)において鏡検による起炎菌の迅速な検出が重要である.
○治療前の培養,同定および抗生物質感受性を施行する.

治療

原因菌判明前(原因菌不明時)の抗菌薬

○髄液移行性から第三世代以降のセフェム系抗菌薬が選択される.
○市中感染で細菌性の場合,肺炎球菌とインフルエンザ菌および髄膜炎菌が原因菌であることが多いため,これらに有効な抗菌薬を選択する.
○髄膜炎の経験的治療を行う際には,幼児・高齢者・糖尿病患者などリステリア菌感染のリスクがある患者に対してはアンピシリンの併用を検討する.

グラム陽性球菌

○カルバペネム系 or 第3世代セフェム+バンコマイシン

起因菌判明後

肺炎球菌

○ペニシリン結合蛋白(PBP)に変異をきたしたペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)に対しても,セフェム系抗菌薬は選択されうる.

リステリア

○セフェム系抗菌薬に親和性のないPBP を産生するため無効であり,第一選択はアンピシリンになる.

インフルエンザ菌

○インフルエンザ菌はかつてはアンピシリンで治療が行われていたが,近年βラクタマーゼ産生菌の割合が増加してきている.
○βラクタマーゼ阻害薬配合アミノペニシリン(βラクタマーゼ阻害薬は髄液移行性が悪いため髄膜炎には選択しづらい)や第三世代・第四世代セフェム系抗菌薬が選択される。

クレブシエラ

○アンピシリンに対しては自然耐性を示す.
○基質拡張型βラクタマーゼ(ESBL)などの強力なβラクタマーゼを産生していないクレブシエラ属菌に対しては,セフェム系抗菌薬は有効である.

緑膿菌

○第三世代の一部(セフタジジム)や第四世代セフェム系抗菌薬は抗緑膿菌活性を認める.

ステロイド

○基本的に抗生物質の投与の10-20分前,または同時に投与する.
デキサメタゾン 0.15mg/kg/6時間後 2-4日
○すでに抗生物質が投与されている場合は,予後改善の根拠はなく,抗生物質投与後は推奨されない.

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