自律神経障害 autonomic neuropathy(糖尿病神経障害)

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なすび医学ノート

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図表は以下の文献より引用
糖尿病2014;57(8):598-601

○自律神経障害は,瞳孔機能異常,起立性低血圧,心臓神経の障害(突然死・無痛性心筋梗塞),発汗異常,消化管の運動障害(使秘・下痢),膀胱の機能障害,勃起障害など多彩な病態を呈し, しばしば患者のQOLは大きく損なわれる.
○しびれ,痛みなどの陽性症状は自覚されやすいが,自律神経症状は初期には捉えられにくい.
○副交感神経神経は障害されやすく,交感神経はかなり進行してから起こる.
○終末期には無自覚低血糖や,不整脈などによる突然死が問題となる.

疫学

○心血管自律神経障害を合併した糖尿病患者では,合併していない患者に比し,死亡率の相対危険度は2.14倍と高く,さらに2つ以上の自律神経機能検査で異常を認めたものでは相対危険度は3.65倍に上昇する.
・要因として,無痛性心筋梗塞の発症率が高いこと,QT間隔延長(重症不整脈の誘発)などが考えられている.

食道運動障害

○糖尿病歴の長い患者の半数にみられ,無効蠕動や食道の自律神経経路の障害を惹起させると推測される.
○さらに高血糖そのものも食道運動機能に有意な影響を与える.
・急性高血糖状態になると,下部食道括約筋(lower esophageal sphincter;LES)圧は低下し,蠕動波の伝搬速度の低下が認められる.
○食道の通過遅延による逆流,嚥下障害,経口薬の食道内での滞留による食道びらんや潰瘍,狭窄を合併することもある.
○外来患者の胸焼けの頻度は14%,嚥下障害は8~27%と報告されている.胃食道逆流症は糖尿病患者の28~64%に認められている.

胃不全麻痺 Diabetic gastroparesis

○迷走神経障害による胃内容排泄遅延.
○罹病期間の長い1型糖尿病患者に多い.
・血糖コントロールの不良例や高血糖症例,罹病期間の長い症例,合併疾患を有する症例と関連している.
○短時間での満腹感,食欲不振,吐き気,嘔吐,胃部不快感,鼓腸などを認める.
○病歴の長い患者の30~50%に胃麻痺がみられ,胃麻痺患者の28~65%に胃排出遅延が認められる.
・幽門部の高浸透圧が関与しているとされるが,原因は解明されていない.
・男性より女性のほうが遅延する.
○早期飽満感や食後もたれ感は胃の適応性弛緩の障害による.
○上腹部痛は内臓知覚過敏が原因と考えられ,悪心・嘔吐はカハール間質細胞のペースメーカー機能低下に伴う胃排出能の低下による.
・急性高血糖により胃排出時間は遅延し,インスリンによる低血糖により短縮する.
○胃内容物の排出遅延や不規則な排出のため,血糖値が大きく変動し,不安定になることがある.

糖尿病性下痢 Diabetic diarrhea

○1日20回以上の排便が起こり,しばしば水様性便となる.
○下痢は間欠的,発作的に起こり,下痢の期間は正常排便や便秘の期間にはさまれ,下痢と便秘を繰り返すことになる.
○発症機序としては小腸運動機能障害,小腸内細菌叢の異常増殖,膵外分泌・消化管ホルモン分泌異常(モチリン・血管作動性ペプチド;VIP・ソマトスタチン),肛門括約筋障害など.

胆嚢運動不全

○胆嚢収縮能低下による胆汁うっ滞は胆石の形成に寄与する.
○肥満や高脂血症とともに,インスリン抵抗性そのものが胆嚢運動不全に関与して,胆石の形成や無石胆嚢炎を引き起こすと考えられている.

神経因性膀胱

○副交感神経障害を成因として,感覚障害による尿意の低下が初期症状.
○膀胱容量の増大により,排尿回数は1日1~2回まで低下する.
○膀胱収縮力の低下により無力性膀胱に至る.
・これで生じる残尿は尿路感染症および水腎症の原因にもなり得る.

勃起障害 Erective dysfunction;ED

○多因子疾患であり,自律神経を含む神経障害,血管障害,代謝異常,栄養,内分泌異常,心理的要因あるいは薬剤などが原因.

薬物療法

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