多腺性自己免疫症候群,自己免疫性多内分泌腺症候群 autoimmune polyendocrine syndrome;APS

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なすび医学ノート

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副腎皮質を中心に,甲状腺,膵β細胞,下垂体,副甲状腺,性腺など複数の内分泌臓器に対する自己免疫疾患を合併する症候群.

1)内分泌腺を中心に様々な抗原に対して自己抗体が存在し,さらに抗原の機能と関連した臨床症状が現れる.
2)APS の発症にはHLA クラスⅡ ハプロタイプが大きく影響しており,HLA DRB1*03:01-DQB*102:01 がAPS 疾患感受性遺伝子として代表的である.

APS1型

AIRE(autoimmune regulator)の機能喪失型変異による.

1)早期卵巣機能不全(premature ovarian failure:POF),自己免疫性甲状腺疾患などがあり,形成異常としては歯牙エナメル質形成不全,爪の低形成などを合併する.
2)一般に皮膚粘膜カンジダ症→副甲状腺機能低下症→Addison病の順に出現するとされる.
 自己免疫性肝炎, 白斑などを合併することが多い.
3)北欧などでは本疾患による副甲状腺機能低下症が多いが,本邦では極めて稀.

APS2型

Addison病に伴う症状に加えて,甲状腺機能障害,1型糖尿病による高血糖,性腺機能低下症状,白斑,脱毛,悪性貧血,重症筋無力症,特発性血小板減少性紫斑病(ITP),Sjogren症候群や関節リウマチなどの症候がみられる.

・Addison病に先行して1 型糖尿病が発症することが多いと報告されている.
・HLA-DR3およびDR-4との関連が深い.
・DRB1*04:04-DQB1*03:02 やDRB1*11:01-DQB1*03:01 はAPS2 型で高頻度.日本人ではこのハプロタイプが少ない.
・遺伝的因子としては,HLA 以外にもT リンパ球の活性を調節するcytotoxic Tlymphocyte- associated protein 4(CTLA-4)やprotein tyrosine phosphatase,non-receptor type 22(PTPN 22),また炎症サイトカインtumor necrosis factor(TNF)α ,炎症シグナルの転写因子signal transducer and activator of transcription(STAT)4 といった免疫応答分子のSNP の関与が示唆されている.
・1 型糖尿病を合併しているAPS2 型症例の中で抗GAD 抗体陽性率は100 %,抗IA-2 抗体陽性率は43 %であり,抗GAD 抗体の陽性率が高い.

疫学

30 歳代をピークに成人女性に多く発症し,10 万人あたり4~5 人の有病率とされている.

Addison病に1 型糖尿病を併発する頻度は12~52 %,自己免疫性甲状腺疾患を併発する頻度は69-88 %で3 者を合併する頻度は12 %前後と報告されている.

APS3型

自己免疫性甲状腺疾患に1型糖尿病や悪性貧血,白斑/脱毛症などを合併し,特発性Addison病を合併しないタイプ.

・日本人の1型糖尿病に合併する自己免疫疾患では Graves’病を含む自己免疫性甲状腺疾患(Autimmune thyriud disease:AITD)が最も高頻度であり,11.3%と報告されている.
・HLAやMICA遺伝子,CTLA4遺伝子などによる多因子遺伝疾患と考えられている.
・APS3型におけるDRB1*04:01-DQB1*03:02 の保有頻度はAPS2 型および対照群の6 倍程度と高率.

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