心房が洞房結節の刺激によらずに速く部分的に興奮収縮し,規則的な洞房結節の活動が伝わらず,心室の収縮が不規則な間隔で起こる状態.
加齢とともに増加し,①動悸,胸部不快感の自覚,②心房収縮の欠如に伴う心不全の招来,③塞栓症の発生など,臨床上非常に重要
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疫学
有病率は年齢と共に増加し,70歳代で約6%,80歳代で約9%になることがアメリカ・オーストラリアの疫学的研究で示されている.
・本邦では,70歳代で2.1%,80歳代で3.2%と半分以下だが,発作性Afがカウントされていない可能性あり.
心房細動は,心不全・呼吸器疾患・癌などあらゆる疾患の終末像として出現しうる.
原因
弁膜症性
僧帽弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症
非弁膜症性
虚血性心疾患,心筋症,高血圧性心臓病,甲状腺機能亢進症
貧血・脱水・発熱(感染),呼吸器疾患などの全身性疾患にも合併しやすい.
心房に何らかの原因で圧・容量負荷がかかると発現しやすい.
基礎疾患のないもの(孤立性 lone)
不眠,過労,ストレスなどの精神的負担で自律神経のアンバランスを来たしている場合など
分類
発作性 paroxysmal
1週間以内に自然に停止する.
持続性 persistent
7日を超えて持続し,自然停止しない.
永続性(慢性) long-standing persistent
除細動が不成功 or 実施されなかったことにより,永久的に持続
病態
病態の核となるのは,左房のリモデリングであるが,さまざまな原因による左房へのストレッチ刺激とともに,全身のサイトカインや炎症の活動亢進が左房にも及んで左房リモデリングを進行させる.
塞栓症
頻脈誘発性心筋症 tachycardia-induced cardiomyopathy
心房細動による高度な頻脈が長時間持続することによってうっ血性心不全を来たし,場合によっては重篤化することもある.
症候
自覚症状
脈の乱れ(バラバラ)感を伴う動悸(心悸亢進)を自覚することが多い.
無症状で経過し,健康診断などを受けて偶然に発見されることもよくある.
慢性心房細動の多くは症状がない.
脈の触知が心房細動の早期発見につながるため,医師のみならず患者自身においても脈の触知を励行するキャンペーン活動が行われている.
脈拍の触知
絶対的に不規則な脈拍
心電図(確定診断)
12誘導心電図,ホルター心電図,イベント心電図
*参考程度にスマートフォンやスマートウォッチの活用
通常の12誘導心電図で心房細動が検出されなければ,24時間ホルター心電図を考慮する.
それで記録できない場合は,動悸などの症状を自覚する患者であれば,イベント心電図を考慮.
正常P波が消失し,きわめて迅速で多形態の心房波を認め,RR間隔が絶対的に不規則になるのが特徴.
基線上に細かな振れ(細動波)を示すことが多い.
心房期外収縮や心室内変行伝導を呈して,一時的にQRS波が幅広くなることもある.
埋込み型ループレコーダ
潜因性の発作性心房細動の検出
血液検査
心房細動の原因となる貧血・脱水・炎症・甲状腺機能亢進症の存在を知るのに有用.
脳性Na利尿ペプチド(BNP)は,心房細動患者では上昇し,発作性心房細動では一過性に,慢性心房細動では持続性にその値が高くなる.
心エコー
基礎心疾患と左房拡大を評価する.

基礎疾患の有無を把握することが重要
左房(短軸)径が45mmを超えると,左房内血栓形成のリスクが高まる.
左房内血栓の有無の評価については,経食道心エコー.
・経胸壁では評価できない左心耳の(塞栓症の原因となる)血栓を検出できる.