COPDオーバーラップ症候群 Asthma and COPD Overlap:ACO

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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図表は以下の文献より引用
日内会誌2018;107:1852-1857

慢性閉塞性肺疾患(COPD)については,こちらの記事

○喘息患者の多くでは,アトピー素因があり,喘鳴や発作性の呼吸困難を呈し,気管支拡張薬吸入後の1秒率が正常化(FEV1/FVC≧70%)し,気道可逆性がみられる(FEV1>12% かつ>200 mlの増加).
○COPD患者の大部分では,喫煙歴があり,体動時の呼吸困難と不可逆的な気流閉塞(FEV1/FVC<70%)を特徴とする.
→オーバーラップ症候群は,このような喘息とCOPDのコンポーネントを併せ持つものと定義される.

診断

問診

○呼吸困難が起きる状況(発作性か体動時か),アトピー素因等のアレルギーの有無,喫煙歴等.

気道可逆性検査

○不可逆性の気流閉塞の有無を調べ, 喘息及びCOPDのコンポーネントを検討する.
○可逆性の程度により,喘息・COPD両者の合併を明確に鑑別することは困難.
○気腫病変を有する症例においては,肺胞の破壊があるため,DLCO(carbon monoxide
diffusing capacity)が予測値の80%未満であれば,気腫病変の合併を示唆するものと考えられる.

気道炎症の評価

○喀痰での炎症細胞の評価や呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)の測定.
・ACO患者の気道粘膜では,好酸球と好中球両者の浸潤が認められる.
・FeNOは好酸球性気道炎症を反映しており,喘息において特異的に上昇するが,ACOにおける検討は未だ不十分.

治療

管理目標

1)症状およびQOL の改善
2)呼吸機能障害・気道過敏性亢進の改善
3)運動耐容能・身体活動性の向上および維持
4)疾患の進行・気道リモデリングの抑制
5)増悪の予防
6)合併症・併存症の予防と治療
7)生命予後の改善
8)治療薬による副作用の回避

危険因子の回避

○アレルゲン,タバコ煙,大気汚染物質等への曝露,気道感染,薬物,ストレス,過労等の危険因子を回避する.

吸入ステロイド,気管支拡張薬

○症候学的にACOと判断されれば,直ちに初期治療を開始することが推奨される.
○診断の時点で,吸入ステロイド薬(inhaled corticosteroids:ICS) が未投与であれば,ICSの導入を行う.
○同時に,気管支拡張薬として,長時間作用性β2 刺激薬(long-acting β2 agonist:LABA)や長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonist:LAMA)を追加する.
*注意点は,喘息の特徴を認める場合に,LABAのみによる治療(LABA単独治療)を行わないことであり,ICSを必ず併用する.

○ICS/LABA配合剤とICS/LAMA配合剤のいずれがよりACOに有用であるかは不明.
○ACOの治療に使用するICSの投与量については,一定の基準は提唱されていない.
○実際,ACO患者では,純粋な喘息患者と比較してICSの効果が明確になっておらず,現段階では,治療の初期からICSと長時間作用性気管支拡張薬を併用し,ICSの投与量は,重症度に応じて決定するのが妥当.

マクロライド系

○マクロライド系抗菌薬がACOの増悪を抑制する可能性がある.
○マクロライドが好中球の活性化抑制,抗ウイルス作用,気道クリアランスの向上を来たすため,COPD患者の急性増悪リスクを減らすことが根拠となっている.

去痰薬

○カルボシステイン等のは,気道粘液分泌亢進の抑制や気道クリアランス障害の改善により,疾患の増悪を抑制する可能性がある.

その他

○環境整備,患者教育,呼吸リハビリテーション,インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種,栄養療法,酸素療法,換気補助療法等による包括的な管理を行う.

増悪時の治療

○ACOの増悪時の対応については,明確な指針が示されていないが,従来の喘息及びCOPDのガイドラインを参考に治療を行う.

○喘息とCOPD両者に共通して短時間作用性β2 刺激薬(short-acting β2 agonist:SABA)の吸入が推奨されており,ACOの増悪時にも同様の対応を行う.

○SABA吸入で改善が乏しい場合は,ステロイド薬の全身投与を行う.
<喘息コンポーネントの増悪>
・初回量はヒドロコルチゾン200~500 mg,またはメチルプレドニゾロン40~125 mgとし,以降はヒドロコルチゾン100~200 mg, またはメチルプレドニゾロン40~80 mgを必要に応じて4~6時間毎の静脈注射が示されている.
・プレドニゾロン0.5 mg/kgの経口または点滴静注も可能である.
<COPDコンポーネントの増悪>
・プレドニゾロン30~40 mg/日の10~14 日投与が目安となる.
・同量のプレドニゾロン5 日間投与でも6 カ月間の再増悪に差はない.

○COPDの場合,増悪の原 因としてウイルスや細菌感染の重要性が指摘されており,喀痰の膿性化があれば,細菌感染の可能性を考慮し,抗菌薬の投与が推奨される.

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