個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.
材質
expanded-polytetrafluoroethylene(ePTFE)グラフト
ゴアテックス®,Rapidaxa®
・抗感染性,長期開存性,操作性において他の材質より優れている.
・植え込み後穿刺使用まで2~3週間の待機期間を要する.
・約5%の頻度で血清腫が発生する.
polyurethane(PU)グラフト
ソラテックス®
・早期穿刺が可能.
・早期・中期の開存性もePTFEグラフトとほぼ同等の報告.
・グラフトが屈曲しやすいことが問題点.
polyolefin-elastomer-polyester(PEP)グラフト
・2006年に発売.
・早期に穿刺可能.穿刺がしやすく止血性にも優れている.
・開存率はePTFEグラフトやPUグラフトと同等以上とされている.
場所
前腕ループグラフト
・穿刺範囲が広い.
・日常の穿刺,止血が行いやすく,感染などの異常に気付きやすい.
長期使用例ではループグラフト自体の硬化,内膜肥厚,穿刺部瘤などが起こり,度々血栓閉塞や慢性的な穿刺困難に悩まされる.
シャントトラブル
血栓性閉塞
静脈吻合部の狭窄を主因として,血栓性閉塞を来たす.
シャントトラブルへの対応
vasucular access intervention therapy;VAIVT
長期開存例の穿刺によるループグラフト自体の強度な硬化や内膜肥厚には対処しにくい.
グラフト再建
狭窄部のグラフト置換
既存グラフトに並走するようにグラフトバイパス
・皮膚切開部やグラフトの設置部位や吻合などに苦慮することが多い,
中枢側に新規作成
・患者の高齢化から心負荷の増大,末梢虚血のリスクが高い.
皮弁形成グラフト部分置換術
・皮弁を形成しつつ老朽化したループグラフトを長距離抜去し,全く同一部位に新しいグラフトを設置する.
・手術創ができないため,以前と同様に穿刺できる.
・動脈-グラフト吻合部を変更しないため,急激な血行動態の変化が少ない.
・一度に置換するループを半分に留めることで残存ループを使用して透析を続行できる.
・皮弁は真皮直下の皮下脂肪筋膜組織を皮膚に少し付加した薄層皮膚弁.
→皮弁そのものは薄いが,皮膚栄養血管は真皮直下から真皮深層にdeep dermal plexusを形成しているので血行的には問題ないとされる.