脂質異常症治療薬 antilipemic agent

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

脂質異常症自体は無症状であり,治療が長期間にわたることを念頭に置いて,治療効果,患者のコンプライアンス,安全性も考慮して使用する薬剤の種類を決定する.

高LDL-C血症
スタチン,小腸コレステロールトランスポーター阻害薬,陰イオン交換樹脂,プロブコール,PCSK9阻害薬,MTP阻害薬

高TG血症
フィブラート,SPPARMα,ニコチン酸誘導体,N-3系多価不飽和脂肪酸,ω-3脂肪酸エチルなど

↓↓↓↓ ≦ー50%
↓↓↓  -50%~-30%
↓↓   -30%~-20%
↓    -20%~-10%
→    -10%~+10%
↑    +10%~+20%
↑↑   +20%~+30%

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)

LDL-C ↓↓~↓↓↓
non-HDL-C ↓↓~↓↓↓
TG ↓
HDL-C →~↑

スタチンによる心血管イベントの有意な抑制効果はメタ解析で証明されている.
・LDL-C低下量と主要血管イベント抑制効果との間には正の相関.
・治療中LDL-Cと主要心血管イベント発症率も正の相関.
・少なくとも二次予防では,LDL-C値は,”The lower, the better”

筋毒性

筋痛は両側対称性に生じ, 下肢近位筋で多く,スタチン開始後6カ月以内で生じる例が多い.

発生頻度は,何らかの筋症状は約10%,筋肉痛は約7%,重度の筋障害は約0.1%で認められ,全スタチン使用患者の5~10%がスタチン不耐となると報告されている.

CK>2000 IU/L(正常最大値の10倍)は筋障害(myopathy)と呼ばれ,下肢近位筋の圧痛と筋力低下を認め,発生頻度は0.1%程度.

CK<800 IU/L(正常最大値の4倍)の場合
運動によるCK上昇の可能性とスタチン関連CK上昇の可能性.
・運動などの原因がなければ再検.
・継続投与は容認されるが,他のスタチンや他剤への変更や同スタチンの減量を考慮.
・心血管リスクを考慮し,低リスクの場合にはスタチンを一旦中止するのもあり.

CK≧800 IU/L(正常最大値の4~10倍)
・筋症状がある場合には,直ちに服用中のスタチンを中止.
・スタチン投与の継続が必要と考えられる場合には,他のスタチンへの変更や,同スタチンでも少量から再開することは可能.
・他剤に変更するのが無難.
→CKを経時的に再評価

CK≧2000IU/L(正常最大値の10~倍)
強度の運動や打撲傷など二次的な場合を除き,スタチンは直ちに投与中止.
横紋筋融解症の可能性あり,腎機能障害やミオグロビン値・ミオグロビン尿を評価.
・スタチン投与が必要であれば,CKが改善した後,他のスタチンへの変更や,同スタチンでも少量から再開.
・他剤に変更するのが無難.

ピタバスタチン

リバロ® 錠1mg/2mg/4mg OD1mg/2mg/4mg
1日1~2mg(max4mg) 分1

アトルバスタチン

リピトール® 錠5mg/10mg
1日10mg(max20mg,FHLはmax40mg) 分1

ロスバスタチン

クレストール® 錠2.5mg/5mg OD2.5mg/5mg
1日2.5~5mg(max10mg,FHLはmax20mg) 分1

CCr30mL/min/1.73m2未満では血漿濃度が約3倍に上昇するため,2.5mgより投与開始し,最大1日5mgまでとする.

特に20mg投与時には腎機能に影響が現れる恐れがあるため,20mg投与開始後から12週までの間は原則月に1回,それ以降は定期的に(6カ月に1回等)腎機能検査を行うなど観察を十分に行うことが推奨される.

プラバスタチン

メバロチン® 錠5mg/10mg 細粒0.5%/1%
1日10mg(max20mg) 分1~2

シンバスタチン

リポバス® 錠5mg/10mg/20mg
1日1回5mg(max20mg) 分1

フルバスタチン

ローコール® 錠10mg/20mg/30mg
1日1回20~30mg(max60mg) 分1(夕食後)

フィブラート

肝臓や骨格筋のPPARαを活性化し,脂肪酸のβ酸化に関わる酵素,リポ蛋白リパーゼ,アポ蛋白A-Ⅰ,A-Ⅱの転写を促進させ,肝臓内の脂肪酸プールの減少,TG生合成の減少,超低比重リポ蛋白(VLDL)合成・分泌の減少を引き越し,肝組織内のTG量を低下させる.→LPL活性増大

ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体 peroxisome proliferator-activated receptor;PPAR
○核内受容体の一つで,標的遺伝子の制御に関わり,3つのサブタイプ(α,β/δ,γ)がある.PPARα...

1)NF-κBを競合阻害するため,その下流シグナルの抑制により抗炎症作用や免疫調節作用を発揮する.
2)体重減少がない場合は効果に乏しい.
3)横紋筋融解症の副作用
・スタチンとの併用は原則禁忌
・CKDstage4以上ではclinofibrate以外は禁忌

LDL-C ↑~↓
non-HDL-C ↓
TG ↓↓↓
HDL-C ↑↑

総死亡率低下のエビデンスはない・・・
・腎機能悪化
・肝機能悪化
・スタチンとの併用で横紋筋融解症が増加?
・動脈硬化性惹起性のホモシスチンの増加
・PSCK2上昇→LDL-Cの軽度増加

ベザフィブラート

ベザトール® SR錠100mg/200mg
1日400mg(適宜増減) 分2

1)PPARαだけでなく,PPARδ(β)やPPARγの活性化作用を有することが報告されている(PPARα agonist).
2)インスリン抵抗性に関与するPPARγにも働くことから,PPARγの活性化を介してインスリン抵抗性を直接改善する可能性が示唆されている.
・経口糖尿病薬と併用する場合は低血糖に注意.

フェノフィブラート

リピディル® 錠53.3mg/80mg
トライコア® 錠53.3mg/80mg
1日106.6~160mg 分1

RCTにより,ALTと脂肪肝の改善を認められている.

クリノフィブラート

リポクリン® 錠200mg
1日600mg 分3

クロフィブラート

クロフィブラート® カプセル250mg
1日750~1500mg 分2~3

選択的PPARαモジュレーター

1)核内受容体のPPARαに結合後,リガンド特異的な PPARα の立体構造変化をもたらし,主に肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節する.
→TG・レムナント減少やHDL-C増加などの効果が増強させることを目指している.
2)脂質代謝に関わるところだけ調節するので,他のフィブラートで見られるような肝機能検査値異常(AST,ALT上昇),腎機能検査値異常(クレアチニン上昇)や血中ホモシステイン増加などの副作用が起こりにくい.

LDL-C ↑~↓
non-HDL-C ↓
TG ↓↓↓
HDL-C ↑↑

ペマフィブラート

パルモディア® 錠0.1mg
1日0.2mg(max0.4mg) 分2

PPAR活性化に対するペマフィブラートのEC50(μmol/L)
ヒトPPARα→0.0080,ヒトPPARγ→4.3,ヒトPPARδ→9.0

臨床第Ⅱ相試験
ペマフィブラート0.1mg(1日2回) VS フェノフィブラート100mg(1日1回)
・より脂質改善効果が大きい(TG・non-HDL-C・VLDL低下,HDL-C上昇)
・動脈硬化惹起性のリポ蛋白の粒子サイズにもより好ましい影響
・有害事象はフェノフィブラートに比べて少ない(血清Crやホモシスチンの有意な上昇なく,肝機能は改善).
→NASH/NAFLDへの有効性も示唆された.
・食後高脂血症も改善.

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

LDL-C ↓↓
non-HDL-C ↓↓
TG ↓
HDL-C ↑

IMPROVE-IT試験
スタチンにエゼチミブを上乗せ.
→スタチン以外の薬剤によってLDL-Cを70mg/dL→50mg/dL程度まで低下させる意義が示された.

EWTOPIA試験
本邦で75歳以上の高LDL-C血症を有する後期高齢者が対象.
食事療法単独に対して,食事療法+エゼチミブ併用により,複合脳心血管イベントの有意な抑制が認められた.

エゼチミブ

ゼチーア® 錠10mg
1日10mg 分1

PCSK9阻害薬

本邦で2016年から使用可能

最大耐用量のスタチンと併用することで,LDL 受容体の発現を増加させ血中コレステロール値を低下させる効果がある.
→PCSK9 阻害薬によりLDL‒C コントロールが可能となり,心血管イベント抑制につながることが明らかにされた.

適応は,家族性高コレステロール血症,重度の高コレステロール血症(心血管イベントの発現リスクが高い and HMG-CoA還元酵素剤で効果不十分またはHMG-CoA還元酵素による治療が適さない)

1本が約25000円 or 約40000円ととても高価

LDL-C ↓↓↓↓ Lp(α)は約50%低下
non-HDL-C ↓↓↓↓
TG ↓~↓↓ 20~25%低下
HDL-C →~↑ 10~15%増加

PCSK9(プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)

肝臓の小胞体で分泌され, 血中から細胞内(主に肝臓)へLDLコレステロールを取り込む際に重要な働きをするLDL受容体を分解する.

・PCSK9が結合したLDL受容体はリサイクリングされずにリソソームで分解される.
・通常,細胞表面に局在するLDL受容体はLDLと結合後,エンドサイトーシスによってエンドソームに運ばれ,再びLDLと結合しLDLを細胞内に取り込む.
・LDL受容体の細胞表面へのリサイクルは約150回行われる.

スタチン内服によりコレステロール合成が抑制されると,細胞内のコレステロール濃度センサーであるSterol regulatory element‒binding protein 2(SREBP2)が反応し,LDL 受容体を介して血中LDL‒Cを細胞内へ取り込むよう促す.
→LDL 受容体の発現が増えるとPCSK9 がLDL 受容体と結合しLDL 受容体の分解を進め,このシステムが細胞内コレステロール量の恒常性に寄与している.
→スタチン単独投与の場合,PCSK9の働きがある以上,コレステロール値低下に限界がある.

エボロクマブ evolocumab

レパーサ®皮下注140mg/420mgシリンジ アステラス

2週間に1回140mg or 4週間に1回420mg
(FHLホモ接合体の場合は,4週間に1回420mg,最大は2週間に1回420mg)

OSLER試験
エボロクマブの効果について行われ,標準治療群に比べ,標準治療にエボロクマブを併用した群(140 mg/2 週間または420 mg/月)ではLDL‒C 値が12 週後に約60%低下し以後もこの低下を維持した.

アリロクマブ alirocumab

プラルエント® 皮下注75mg/150mg サノフィ

2週間に1回75mg or 4週間に1回150mg,最大は2週間に1回150mg

ODYSSEY OUTCOMES 試験
急性冠症候群患者を対象とし,標準治療にアリロクマブを併用することで,非致死的心血管イベントの再発リスクが低下(hazard ratio: 0.87; 95% confidence interval:0.82‒0.93)し,死亡リスクも低下(hazard ratio: 0.83; 95% confidence interval: 0.71‒0.97)することが示された.

n-3系多価不飽和脂肪酸

LDL-C →
non-HDL-C →
TG ↓
HDL-C →

イコサペント酸エチル

エパデール® カプセル300mg/S300mg/S600mg/S900mg
PADに伴う症状の改善→1日600mg 分3
高脂血症→1日1800mg(max2700mg) 分2~分3

ω-3脂肪酸エチル

ロトリガ® 粒状カプセル2g
1日2g(max4g) 分1(max分2)

陰イオン交換樹脂

LDL-C ↓↓
non-HDL-C ↓↓
TG ↑
HDL-C ↑

コレスチミド

コレバイン® 錠500mg 顆粒83%
1日3g(max4g) 分2(朝夕食前)

コレスチラミン

クエストラン® 粉末44.4%
1日8~12g 分2~3 1回4gを水約100mLに懸濁

プロブコール

LDL-C ↓
non-HDL-C ↓
TG →
HDL-C ↓↓

CETPとSR-BIの活性化により,HDLを介したコレステロール引き抜きやコレステロール逆転送を促進する.

・LDL-Cと同様にHDL-Cを低下させる.
・極めて強い抗酸化作用
・黄色腫を消退させる(アキレス腱,眼瞼黄色腫など)
・心血管イベントの二次予防に抑制的な効果を示す可能性が占めされた.

プロブコール

シンレスタール® 錠250mg 細粒50%
ロレルコ® 錠250mg
1日500mg(FHLの場合はmax1000mg) 分2

MTP阻害薬

肝臓におけるVLDL合成・分泌を抑制し,LDL-C,TGの低下が期待される.

LDL-C ↓↓↓
non-HDL-C ↓↓↓
TG ↓↓↓
HDL-C ↓

ロミタピドメシル

ジャクスタピッド® カプセル5mg/10mg/20mg
1日1回5mg(10mg→20mg→max40mg)夕食後2時間以上あける
*10mg増量するときは2週間以上,20mg・40mgに増量するときは4週間以上間隔をあけて,忍容性を確認する.

ホモ接合体家族性高コレステロール血症のみが適応
・FHホモ接合体に対して投与され,LDL-C,アポBを約50%減少させた.

1カプセルが5万以上と高価

ニコチン酸誘導体

LDL-C ↓
non-HDL-C ↓
TG ↓↓
HDL-C ↑

ニセリトロール

ペリシット® 錠125mg/250mg
1日750mg 分3

ニコモール

コレキサミン® 錠200mg
1日600~1200mg 分3

トコフェロールニコチン酸エステル

ユベラN® カプセル100mg/ソフトカプセル200mg/細粒40%
1日300~600mg 分3

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