抗真菌薬 antifungal agent

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

図表は以下の文献より引用
日内会誌2013;102:2915-2921

○深在性真菌症に対して全身投与可能な抗真菌薬は限られている.
○国内で臨床応用できる抗真菌薬はポリエン系3 薬剤,ピリミジン系1 薬剤,アゾール系(イミダゾール系・トリアゾール系)5 薬剤,キャンディン系2 薬剤の4 系統,11 薬剤にとどまっている.
○抗真菌活性を有する新規化合物が発見されても,臨床試験に達することなく,淘汰された物質も多い.

ポリエン系抗真菌薬

○細胞膜のエルゴステロールに結合し,膜電位や流動性を変化させて細胞膜機能を傷害する.
○Zygomycetes(接合菌=ムコール)では唯一の治療薬.
○トリコスポロンやアスペルギルス・テレウスには抵抗性
○セドスポリウム属には無効

アムホテリシンB リポソーム製剤 Amphotericin B (Liposomal);L-AMB

アムビゾーム点滴静注用50mg® 大日本住友

○アムホテリシン-B脂質製剤.
○真菌細胞のエルゴステロールに直接結合し細胞膜を破壊する.
○L-AMBの粒子径は100 nm以下と小径であるため細網内皮系に補足されにくい一方で,感染部位では炎症のため血管透過性が亢進しているので,L-AMB粒子が血管外に漏出しやすい.
→感染巣が真菌によるものであれば,L-AMBは真菌細胞に付着・集積して活性を発揮すると考えられている.
○L-AMBは高用量を短時間に注射できるので,速やかに高い血中濃度に到達可能となり,真菌感染巣への集積も加わってAMPH-B以上の高い効果が期待できる.

○単層の脂質2 分子膜からなり,2 分子膜中にアムホテリシン-Bが強固に封入されており,点滴注射後,血中でのL-AMB崩壊は10% 以下に留まり,副作用発現の原因となるフリーのアムホテリシン-Bの放出が少ない.
→AMPH-Bに特有の副作用である発熱,低K血症,腎毒性などの頻度が低減されている.
○副作用発現が全く認められなくなるわけではなく,発熱や嘔気・嘔吐,背部痛等の点滴中に生じる副作用,腎機能への影響,低カリウム血症などには十分な注意が必要.

○L-AMBのPK-PDパラメーターはAMPH-Bと同様Cmax/MIC.

アゾール系抗真菌薬

○合成化合物から作られた抗真菌薬で,真菌の酵素(チトクロムP450)を阻害し,エルゴステロールの産生を抑えることにより殺菌作用を呈する.
○ヒトのコレステロール産生も阻害すると言われ,体内ステロイドの低下などを呈することもある.
・新しいものは経口薬でも腸管からよく吸収される利点を有している.
○他の併用薬に関して、P450を介して代謝される薬剤の血中濃度を変化させることがあるため注意が必要.

○イミダゾールとトリアゾールに分類される.

ボリコナゾール Voriconazole;VRCZ

ブイフェンド錠50mg/ブイフェンド錠200mg® ファイザー
ブイフェンド200mg静注用® ファイザー

○トリアゾール系抗真菌薬であり,真菌細胞膜のエルゴステロールの合成を阻害する.
○注射薬と錠剤の2 剤型が準備されており,経口投与時の消化管吸収性が良好でバイオアベイラビリティが約96%と高いことから,患者の状態に応じて静脈内投与と経口投与の切り替えが可能.

○PK-PDパラメータはAUC/MICが最適とされ,早期に高いAUCを引き出すために初期のローディングドーズが推奨されている.

○副作用として羞明,霧視,視覚障害などの症状が知られている.
・一過性でVRCZ使用中に改善することが知られているが,その間は重機や自動車の運転等危険を伴う作業には従事させないよう注意が必要である.
・幻聴などの精神神経系有害事象の報告もある.
→特に治療早期には十分な観察が必要

○肝代謝酵素CYP2C19,2C9 および3A4 で代謝され,CYP2C19,2C9 および3A4の阻害作用を有する.
○日本人ではCYP2C19 を十分に代謝できないpoor metabolizerが多く,約15~20%と存在すると考えられ,代謝が延長し,血中濃度が高くなる可能性がある.
→高い血中濃度を示す患者では精神神経系有害事象や肝機能障害が出現しやすいとの報告もあるので,本薬投与期間中は血中濃度をしっかりとモニタリング(TDM)する必要がある.

○調製時には,本剤を注射用水19mLに溶解した液(濃度10mg/mL)は,通常「日局」生理食塩水を用いて希釈して,点滴静脈内投与する(希釈後の点滴静脈内注射溶液濃度0.5~5mg/mL).

イトラコナゾール Itraconazole;ITCZ

イトリゾールカプセル50® ヤンセン ファーマ

○トリアゾール系抗真菌薬であり,作用機序,および最適なPK-PDパラメータはVRCZと同様である.

○注射薬と,経口のカプセル薬,および内用液がある.
○脂溶性で水にほとんど溶けず,消化管からの吸収も不良であり,蛋白結合率も99.8% と高い.
○カプセル薬は吸収過程で胃内のpHに影響を受ける.
→深在性真菌症を治療するのに十分な血中濃度が得られないことが多い.
○上記を改善するために,ITCZをヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β-CD)で水溶化することにより消化管からの吸収を高め,制酸剤の影響も受けない内用液と注射剤が開発された.
→注射薬に引き続き高用量のITCZカプセル薬を使用することで,高い血中濃度を維持可能な用法が確立されている.

○本薬は高齢者,肝機能障害患者,腎機能障害患者,および透析患者での用量調整は設定されていないが,腎障害のある患者,肝障害のある患者には慎重投与とされる.
・注射薬は溶媒であるHP-β-CDの腎毒性の報告があり,Ccr 30 ml/分未満の患者では投与禁忌.

○主な副作用は肝機能障害,低カリウム血症.
○まれにうっ血性心不全が起こることがあり,その現症,既往歴のある患者は慎重に投与する.
○内用液ではHP-β-CDの作用による消化器毒性に注意が必要である.

フルコナゾール Fluconazole;FLCZ

ジフルカンカプセル50/100mg® ファイザー
ジフルカン静注液50/100/200mg® ファイザー

○トリアゾール系の抗真菌薬で,カプセル,経口懸濁液,注射薬の3 剤型がある.
○酵母様真菌にのみ活性がある.
・アスペルギルス属に活性を示さないので注意が必要.
○FLCZの血中濃度半減期は約30 時間と長く,1 日1 回投与で高い血中濃度が維持される.
○バイオアベイラビリティは約90% と良好であり,経口投与でも高い血中濃度は保たれる.
○体液・組織移行性に優れ,唾液,喀痰,肺組織,髄液,硝子体液等へ良好に移行する.

ホスフルコナゾール Fosfluconazole;F-FLCZ

プロジフ静注液100/200/400® ファイザー

○FLCZをリン酸エステル化したプロドラッグの注射薬.
○静脈内投与後は生体内で速やかにFLCZに加水分解される.
○プロドラッグ化に伴う溶解性の向上により,注射液量が減少し,ボーラス投与が可能となった.
○治療開始時のローディングドーズにより血中FLCZ濃度は投与3 日目に定常状態に至る.

キャンディン系抗真菌薬

○真菌細胞壁の構成成分であるβ-Dグルカンの合成酵素β-1-3グルカンシンターゼに作用し抗菌力を発揮.
○分子量が大きく,腸管から吸収されないため経口薬がないのが不便だが,スペクトラムが広い(カンジダ属・アスペルギルス・コクシジオイデス・ブラストミセス・ヒストプラズマなど)うえに,アンホテリシンBのような強い副作用が無いのが長所.
○肝代謝であり、腎機能により投与量は調節せずに済む.

ミカファンギンナトリウム Micafungin;MCFG

ファンガード点滴用25/50/75mg® アステラス

○本邦で創薬されたキャンディン系抗真菌薬.
○ヒトには存在しない真菌細胞壁の主要構成成分であるβ-D-グルカン合成酵素を阻害する.
○主要な病原真菌であるカンジダ属とアスペルギルス属に対して強い抗真菌活性を示す.
○最適なPK-PDパラメータはAUC/MIC,またはCmax/MICとされる.
○C. parapsilosisに対して比較的高いMIC値を示すものの,臨床効果は他のカンジダ種と同程度.
*眼への移行性が不良であるため,カンジダ眼内炎の治療には適切でない.
○カンジダ属,およびアスペルギルス属に対しては高い活性を有しているが,トリコスポロン属,クリプトコックス属,接合菌など,他の病原真菌に対しては抗真菌活性を示さない.

○主な副作用として肝機能障害が知られているが,安全性は高いと考えられている.
○他剤との併用禁忌,併用注意も設定されていない.

カスポファンギン Caspofungin;CPFG

カンサイダス点滴静注用50/70mg® MSD

○最初に開発されたキャンディン系抗真菌薬であり,米国では長い使用経験があるが,本邦で導入されたのは2012 年と我が国では最も新しい抗真菌薬.
○作用機序,最適PKPDパラメータはMCFGと同様.
○カンジダ属およびアスペルギルス属に対して強い抗真菌活性を示すが,他の真菌に対する活性は期待できない点もMCFGと同じ.
*眼への移行性が十分でないため,カンジダ眼内炎の治療には適切でない.

○MCFGと比して血漿タンパク結合率が約96~97% とやや低めに抑えられるため,活性を示すフリーのCPFGのAUCが高く得られる利点がある.
○本薬は初日にローディングドーズを行うことにより投与初日から高い血中濃度,AUCに到達することが確認されており,PK-PDの考え方に即した投与法が可能.

○中等度の肝障害のある患者Child-Pughスコア7~9 では,減量が必要とされているが,安全性は高いと考えられる.

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