抗凝固薬(血液透析)

スポンサーリンク
なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

血液凝固のカスケード

血液透析:凝固活性,線溶活性ともに正常の3~4倍に亢進
 第Ⅻ因子→第Ⅺ因子活性化
 抗Ⅹa作用 → 体外循環時の凝血抑制
 抗Ⅱa作用 → 凝固時間の延長

モニタリング

ACT:activated clotting time

凝固因⼦+⾎⼩板機能(全⾎検査)
正常値:約90〜120秒
→ヘパリン透析中は約150~200秒になるよう調節する(基礎値+80%程度).

APTT:activated partial thromboplastin time

内因性凝固系のみ(凝固第Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅷ・Ⅸ・Ⅹ・Ⅺ・Ⅻ因⼦の活性を反映)

正常値 約26〜40秒

未分画ヘパリン

ヘパリン®

分子量は6000~25000程度.
ウシやブタなどの哺乳動物の肺や腸組織から抽出・精製されたものが使用.

作用機序
・まだ十分あきらかになっていない(凝固因子のⅩaとⅡaの両方に作用?)
・アンチトロンビンⅢ(ATⅢ)と結合
→Ⅻa・Ⅹa部位に作用し,さらにトロンビンの活性を阻害
→フィブリノーゲンからフィブリンへの転化を強く抑制し,凝固時間を延長させる(APTTが延長)

半減期
1~1.5時間で,血管内皮細胞に結合し,細胞内へ取り込まれて分解後,腎から排泄される.

副作用
・凝固時間の延長により,出血を助長する危険がある.
 拮抗薬は硫酸プロタミン
・まれにアレルギーの発生がある.
・脂質代謝への影響あり.脂肪分解があり,1回透析でTGの低下と遊離脂肪酸(FFA)の上昇を生じる.
・続発性骨粗鬆症:長期投与で誘発しうるが,発症メカニズムは不明.

ヘパリン起因性血小板減少 heparin-induced thrombocytopenia;HIT
typeⅠ:ヘパリンの血小板直接刺激により血小板減少を引き起こす
typeⅡ:一過性に出現するヘパリン依存性自己抗体(抗ヘパリン-血小板第4因子複合体抗体:HIT抗体)が血小板を活性化する.

低分子ヘパリン

ダルテパリン(フラグミン®)など

ヘパリンの低分子分画製剤で,分子量2000~9000(平均5000).

作用機序
・ATⅢと結合し,Ⅹa因子活性を阻害する(Ⅱaに作用がない).
・トロンビン活性の阻害には少なくとも18以上のpolysaccharideが必要であるため,低分子ヘパリンはトロンビンを直接阻害しない(抗トロンビン作用はほとんどなし).
⇒未分画ヘパリンに比べ,全血凝固時間の延長が少ない.

半減期
2~3時間.
血管内皮細胞との結合性が低いため,細胞内での分解が少なく,透析性はほとんどない.

効果判定
現在,ベッドサイドでの使用量の簡単なモニタリングができない(ACTが不可).

副作用
・出血助長や長期副作用が少ない.
・未分画ヘパリンに比べ,作用時間が長い,脂質代謝に対する影響が少ない,血小板減少症が少ないなどの特徴がある.

メシル酸ナファモスタット

フサン®
コアヒビター®

作用機序
・合成蛋白酵素阻害薬で分子量539.
・トロンビン,活性化第Ⅹ因子・第Ⅻ因子,カリクレイン,プラスミン,補体活性化酵素など凝固線溶系のみならず,体外循環に伴う生体反応過程を阻害しうる.

半減期
5~8分であり,体内へ戻る時にも抗凝固作用を有している.
・半減期が短く体内還流後,全身循環血で希釈され,抗凝固作用は体外循環回路内にとどまる.

特徴
・透析により約40%が除去され,抗凝固作用の遷延がなく,出血傾向・手術後症例に適応がある.
・体内血液の凝固時間は血液透析中も透析後も延長させないため,出血を増強させない点でもっとも優れている.
・カリクレイン-キニン系を阻害するため,アナフィラキシー様症状のある症例でも回避可能.

効果判定
・トロンビンを阻害するのでACTが有用

問題点
・大量投与が必要であり,高価であり,長期使用が難しい.

アルガトロバン

スロンノン®

合成選択的トロンビン製剤で分子量526.7,半減期30分.

作用機序
トロンビンの活性部位と選択的に結合し,Ⅻa,トロンビンを阻害する.

適応
・ATⅢが不要であり,先天性ATⅢ欠乏症,後天的にATⅢ活性が70%以下に低下した症例での対外循環治療に適応する.
・ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型における血栓症の発症抑制にはスロンノンIH®,ノバスタンHI®のみが認可されている.

使用方法
・アルガトロバン投与量は初回10mg,維持25mg/hより投与を開始.
・凝固時間,回路内凝血,透析効率などを指標に患者毎に投与量を増減し,患者毎の投与量を決定する(5mg~40mg/hr).
・最近のHIT症例で,急性期経過後は初回5mg,維持7.5~10mg/hでも問題なく透析が行われている場合も多いよう.

タイトルとURLをコピーしました