抗凝固薬 anticoagulant drug

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
診療は必ずご自身の判断に基づき,行ってください.
当ブログは一切の責任を負いません.

ワーファリン warfarin

ビタミンKの作用を抑えることで,第Ⅶ因子,第Ⅸ因子,第Ⅹ因子,プロトロンビンの生成を抑制する.

1)欧米ではINR 2~3の範囲で,虚血性脳卒中+頭蓋内出血リスクが最低となり,この範囲で至適強度されている.
2)本邦では70歳以上の非弁膜症性の例ではINR 1.6~2.6が重大な出血リスクを増やさずに,血栓塞栓症を抑制することが示され,至適強度とされる.
3)第Ⅶ因子を抑制するため,組織損傷時に凝固カスケードが発動しにくくなる→致死的頭蓋内出血のリスク
4)ワーファリン服用中は,定期的に受診して凝固能検査をする.
5)ビタミンKを含む食品(納豆/クロレラ食品/青汁)は食べない.

手術・侵襲的手技を実施する場合

1)術前4~5日前から休薬(半減期が長い)
2)血栓のハイリスク例ではヘパリン化を要する.

活動性出血への対応

軽度
・経過観察
・休薬 or 減量(血栓塞栓症のリスクを説明)
・重要臓器(脳や眼底など)の出血では,中等度から重度に準じる.

中等度~重度
・休薬(血栓塞栓症のリスクを説明)
・止血(圧迫,外科,内視鏡処置など)
・輸液(必要時輸血)
・出血性脳卒中時の十分な降圧
・中和(通常は①+③を考慮)
 ①プロトロンビン複合体製剤
 ②新鮮凍結血漿
 ③ビタミンK

消化管内視鏡検査/内視鏡的粘膜生検を行う場合

観察→休薬不要
生検→休薬不要で可能(治療域)
出血低危険度→休薬不要で可能(治療域)
出血高危険度→休薬不要で可能(治療域)/ヘパリン置換/一時期DOACに変更(非弁膜症性AF)

直接経口抗凝固薬 direct oral anticoagulant;DOAC

非ビタミンK阻害経口抗凝固薬 non-vitamin K antagonist oral anticoagulant;NOAC

ワーファリンに比較し脳出血の合併症が少なく,食事や薬剤との相互作用もない

1)凝固カスケードにおける凝固抑制ポイントが少ない.
2)血中濃度の安全性が広い.
3)ピークおよびトラフがある.
4)第Ⅶ因子の量に影響を及ぼさない.

ダビガトラン プラザキサ®
リバーロキサバン イグザレルト®
アピキサバン エリキュース®
エドキサバン リクシアナ®

ビタミンK拮抗剤(ワーファリン)から切り替え

1)ビタミンK拮抗剤の投与を中止し,PT-INRが非弁膜症性心房細動患者では2.0未満,静脈血栓塞栓症患者では治療域の下限未満となってからDOACの投与を開始する.
2)PT-INRが治療域の下限を超えるまでは,本剤とワーファリンを併用する.

他の抗凝固剤(注射剤)から切り替え

1)次回に投与を予定していた時間まで間隔をあけて,DOACの投与を開始する.
2)抗凝固剤(ヘパリン等)の持続静注から切り替える場合は,持続静注中止と同時に本剤の投与を開始する.

活動性出血への対応

Tmaxが4時間以内であるため,休薬により比較的速やかに除去される.

軽度
・経過観察
・DOAC 1回 or 1日分休薬(血栓塞栓症のリスクを説明)
・重要臓器(脳や眼底など)の出血では,中等度から重度に準じる.

中等度から重度
・休薬(血栓塞栓症のリスクを説明)
・活性炭内服:内服直後(4時間以内)であれば,期待できる.
・透析による薬物除去:ダビガトランはOK,リバーロキサバン・アビキサバンは×(蛋白結合率が高い)
・止血(圧迫,外科,内視鏡処置など)
・輸液(必要時輸血)
・出血性脳卒中時の十分な降圧(収縮期血圧 140mmHg未満を目標)
・中和薬
 ダビガトラン→特異的ヒト化モノクローナル抗体(イダルシズマブ)
 Ⅹa阻害薬→andexanat alfa
 DOAC→プロトロンビン複合体製剤/遺伝子組み換え第Ⅶ因子製剤(いずれも保険適応外)

手術・侵襲的手技を実施する場合

半減期は10~12時間と短いため,侵襲の大きい手術においても前日からの休薬で問題ない.

1)患者の出血リスクと血栓リスクに応じて,DOACの投与を一時中止する.
2)待機的手術,侵襲的手技等による抗凝固療法の一時的な中止は,塞栓症のリスクを増大させる.
3)術後は止血が確認されれば,速やかに再開することが望ましい.

エドキサバン・リバーロキサバン
投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい.

ダビガトラン
1)手術や侵襲的手技の24時間前までに投与を中止する.
2)完全な止血機能を要する大手術を実施する場合や出血の危険性が高い場合は手術の2日以上前までの投与中止を考慮.

アピキサバン
1)出血に関して低リスクまたは出血が限定的でコントロール可能な手術・手技を実施する場合は,前回投与から24時間以上の間隔をあけることが望まれる.
2)出血中~高リスクまたは臨床的に重要な出血を起こす恐れのある手術・手技では,前回投与から48時間以上の間隔をあける.

消化管内視鏡検査/内視鏡的粘膜生検を行う場合

観察→休薬不要
生検→休薬不要で可能
出血低危険度→休薬不要で可能(ピーク期を避ける)
出血高危険度→当日休薬(翌日朝から再開)/ヘパリン置換

出血高危険度の消化管内視鏡において,DOACと抗血小板薬を併用している場合は症例に応じて慎重に対応し,抗血栓薬の休薬が可能になるまで内視鏡の延期が望ましい(Evidence level:D,推奨度:2).
・内視鏡の延期が困難な場合は,抗血小板薬はアスピリンかシロスタゾール単独投与にして継続する.
・DOACは処置当日の朝から内服を中止し,翌日朝から再開する.

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