アニオンギャップ anion gap;AG

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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血漿アニオンギャップ

Anion gap= Na-(Cl+HCO3 正常12±2mEq/L

測定不可能な陰イオン(UA)と測定不可能な陽イオン(UC)の差
→通常測定されない陰イオンの増減の指標になる.

血漿中の陽イオンと陰イオンの総量は同じであるが,陽イオンおよび陰イオンの一部は通常の臨床検査では測定されないため,血漿中の主要な陽イオンであるNa+と主要な陰イオンであるCl-とHCO3-の総和との間に正常では約12mEq/Lの差が生じる.

なすび院長
なすび院長

応用して,「Na-Cl=HCO3-+AG」となり,「NaーCl」の基準範囲をほぼ36±4とすると,血液ガスをオーダーしなくても酸塩基平衡が推測できる.


Na-Cl<32であった場合,HCO3– or AGの低下の可能性が示唆される.

測定される陽イオン[Mesured Cation(UC)]+測定されない陽イオン[Unmeasured Cation(UC)]
=測定される陰イオン[Mearured Anion(MA)]+測定されない陰イオン[Unmeasured Anion(UA)]

Measured Cation
 Na+

Unmeasured Cation;UC 11mEq/mL
 K+ 4.5mEq/L
 Ca2+ 5mEq/L
 Mg2+ 1.5mEq/L
 H+ 0.0004mEq/lL
*便宜上KとCaとMgは値が小さいため、Unmeasuredに入れる

Measured Anion
 Cl-
 HCO3-

Unmeasured Anion;UA 23mEq/mL
 蛋白 15mEq/L
 HPO42-/ H2PO4- 2mEq/L
 SO42- 1mEq/L
 有機酸 5mEq/L

AG正常

下痢(腸管への重炭酸イオン喪失)

尿細管性アシドーシス(腎不全の早期を含む,腎での酸排泄障害)
・UAの代わりにClイオンが蓄積し,同量の重炭酸イオンが消費される.
→UAは不変であり,UCも変化がない限り,AGは正常となる

なすび院長
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頻度的に上記2個にほぼ限られる.

AG上昇

代謝性アシドーシス(Cl以外の不揮発酸が体内に蓄積)

尿毒症(進行した腎不全)
 硫酸やリン酸=蛋白の代謝産物

乳酸アシドーシス
 乳酸=炭水化物の代謝産物

ケトアシドーシス

一部の薬物中毒など
・UAが増加し,AGは増加する.
→AGの上昇と同じ分だけ重炭酸イオンは消費され,減少する

トルエンは馬尿酸に変換されるが,糸球体濾過とともに近位尿細管ですみやかに分泌される.
→血液中の陰イオン蓄積は少ないので,トルエン中毒の初期以外ではAGの増加は認められないことが多い.

その他

AGの上昇は代謝性アシドーシス以外にも,UCの減少(例えば,低ガンマグロブリン血症)によっても起こる.

【慢性腎臓病】
<CKD stage1~3a>
・ネフロン当たりのアンモニア産生の増加により,アシドーシスをきたさないことが多い.
<CKD stage3b~4>
・腎での酸排泄障害に伴うAG正常の代謝性アシドーシスをきたすようになる.
・stage5で,リン酸,硫酸などの蓄積によるAG上昇の代謝性アシドーシスがAG正常のアシドーシスに合併するようになる.

AG減少

UAの減少

肝硬変などによるアルブミンの低下など

アルブミン
陰性に荷電している蛋白で,陰イオンのなかでもかなりの分画を占めているので低アルブミン血症ではAGは減少する。
 アルブミン1.0 g/dLの低下でAGは約2.5 mEq/L低下するとされている.
(アルブミンは分子量7万くらいで,アミノ酸が連なったペプチドであることから-17に荷電している.1g/dL×10×17/70,000=0.0024=2.4mEq/L)
→Alb<4g/dLの場合には,補正が必要.

UCの増加

生理的に存在するものの増加:K,Ca,Mg

生理的には通常存在しないもの: IgG multiple myeloma,polyclonal gammopathy,リチウム,ポリミキシンB

陽イオンであるK,Ca,Mgの増加は,よほどの高値でなければAG低下を来たさず,頻繁に測定されるため,気づきやすい.

IgGは陽性荷電を呈するため,IgG multiple myeloma,polyclonal gammopathyが知られている.
・IgA myelomaでは観察されない.

薬剤では,躁病に対するリチウム,陽イオンペプチド抗生物質のポリミキシンBがある.

Clの偽性高値

ハロゲン族による修飾:ブロム,ヨード

電解質の測定はほぼすべての施設においてイオン選択電極法が用いられている.
・イオン選択電極法では,Cl,Br,Iなどのハロゲン族は一括してClと測定する性質を有する.
→BrやIが薬剤の服用などで血清に存在すると,干渉され,偽性高値になる.

ブロムの場合,ブロムワレリル尿素として市販の鎮痛薬などに含まれていることが知られている.

なすび院長
なすび院長

病態と見合わない高Cl血症をみた場合は,治療などの関与を疑う.

尿中アニオンギャップ

Urinary AG= Na+K-Cl=80-NH4

遠位尿細管の酸排泄能の評価(代謝性アシドーシスの鑑別に有用)

陽性の場合は,遠位尿細管性アシドーシス

通常は0以下
・尿中に存在するNa,K以外の陽イオン,すなわちアンモニウムイオン(NH4+)の排泄増加が示唆される.

尿中AG陰性

腎外性にアルカリ喪失のあるアシドーシス
・腎がNH4+の形で酸を排泄しようとする
・尿中に測定不能な陰イオンの増加(ケオ酸イオン,馬尿酸イオンなど)
⇒下痢・ケトアシドーシスの回復期・トルエン中毒など

尿中AG陽性

腎性のアシドーシス
・腎での酸排泄が障害されていてNH4+排泄はアシドーシスがあっても増加しない
⇒腎不全・遠位尿細管性アシドーシス

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