アニオンギャップ anion gap;AG

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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血漿アニオンギャップ

Anion gap= Na-(Cl+HCO3) *正常12±2mEq/L

○血漿中の陽イオンと陰イオンの総量は同じであるが,陽イオンおよび陰イオンの一部は通常の臨床検査では測定されないため,血漿中の主要な陽イオンであるNa+と主要な陰イオンであるCl-とHCO3-の総和との間に正常では約12mEq/Lの差が生じる.
→通常測定されない陰イオンの増減の指標.

測定される陽イオン[Mesured Cation(UC)]+測定されない陽イオン[Unmeasured Cation(UC)]
=測定される陰イオン[Mearured Anion(MA)]+測定されない陰イオン[Unmeasured Anion(UA)]

■Measured Cation
 Na+

■Unmeasured Cation;UC 11mEq/mL
 K+ 4.5mEq/L
 Ca2+ 5mEq/L
 Mg2+ 1.5mEq/L
 H+ 0.0004mEq/lL
*便宜上KとCaとMgは値が小さいため、Unmeasuredに入れる

■Measured Anion
 Cl-
 HCO3-

■Unmeasured Anion;UA 23mEq/mL
 蛋白 15mEq/L
 HPO42-/ H2PO4- 2mEq/L
 SO42- 1mEq/L
 有機酸 5mEq/L

AG正常

○下痢(腸管への重炭酸イオン喪失)
○尿細管性アシドーシス(腎不全の早期を含む,腎での酸排泄障害)
・UAの代わりにClイオンが蓄積し,同量の重炭酸イオンが消費される.
→UAは不変であり,UCも変化がない限り,AGは正常となる
・頻度的に上記2個にほぼ限られる.

AG上昇

■代謝性アシドーシス(Cl以外の不揮発酸が体内に蓄積)
○尿毒症(進行した腎不全)
 硫酸やリン酸=蛋白の代謝産物
○乳酸アシドーシス
 乳酸=炭水化物の代謝産物
○ケトアシドーシス
○一部の薬物中毒など
・UAが増加し,AGは増加する.
→AGの上昇と同じ分だけ重炭酸イオンは消費され,減少する

○トルエンは馬尿酸に変換されるが,糸球体濾過とともに近位尿細管ですみやかに分泌される.
→血液中の陰イオン蓄積は少ないので,トルエン中毒の初期以外ではAGの増加は認められないことが多い.

○AGの上昇は代謝性アシドーシス以外にも,UCの減少(例えば,低ガンマグロブリン血症)によっても起こる.

■慢性腎臓病
<CKD stage1~3a>
・ネフロン当たりのアンモニア産生の増加により,アシドーシスをきたさないことが多い.
<CKD stage3b~4>
・腎での酸排泄障害に伴うAG正常の代謝性アシドーシスをきたすようになる.
・stage5で,リン酸,硫酸などの蓄積によるAG上昇の代謝性アシドーシスがAG正常のアシドーシスに合併するようになる.

AG減少

○UAの減少(肝硬変などによるアルブミンの低下など)
○UCの増加(ミエローマや膠原病での高ガンマグロブリン血症や高Ca血症など)

■アルブミン
 陰性に荷電している蛋白で,陰イオンのなかでもかなりの分画を占めているので低アルブミン血症ではAGは減少する。
 アルブミン1.0 g/dLの低下でAGは約2.5 mEq/L低下するとされている.
(アルブミンは分子量7万くらいで,アミノ酸が連なったペプチドであることから-17に荷電している.1g/dL×10×17/70,000=0.0024=2.4mEq/L)

尿中アニオンギャップ

Urinary AG= Na+K-Cl=80-NH4

遠位尿細管の酸排泄能の評価(代謝性アシドーシスの鑑別に有用)

○陽性の場合は,遠位尿細管性アシドーシス
○通常は0以下
・尿中に存在するNa,K以外の陽イオン,すなわちアンモニウムイオン(NH4+)の排泄増加が示唆される.

尿中AG陰性

○腎外性にアルカリ喪失のあるアシドーシス
・腎がNH4+の形で酸を排泄しようとする
・尿中に測定不能な陰イオンの増加(ケオ酸イオン,馬尿酸イオンなど)
⇒下痢・ケトアシドーシスの回復期・トルエン中毒など

尿中AG陽性

○腎性のアシドーシス
・腎での酸排泄が障害されていてNH4+排泄はアシドーシスがあっても増加しない
⇒腎不全・遠位尿細管性アシドーシス

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