アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) angiotensin-converting enzyme inhibitor;ACEI

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なすび医学ノート

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薬理

アンジオテンシンⅠ(AngⅠ)をアンジオテンシンⅡ(AngⅡ)に変換する酵素であるACEを阻害することにより,血管収縮やアルドステロン分泌刺激などの作用をもつAngⅡの産生を抑制する.

1)降圧効果は内因性のRAA系活性に依存するため,用量の増加による降圧効果の増加は少なくなる傾向を示す.
2)単剤での降圧効果はARBとほぼ同等かやや弱い.
3)カリクレイン-キニン-プロスタグランジン系を増強する作用もあり,これも降圧効果に関わっている.
・ACEはブラディキニンを代謝するキニナーゼⅡと同一酵素であるため,ACEの阻害によりブラディキニンが増加するとともに,プロスタグランジンI2やE2,そしてNOなどの降圧因子が増加する.
4)高レニン性高血圧で降圧効果が高いが,低レニン性高血圧においても降圧効果を示す.
5)AngⅡは交感神経末端ノルアドレナリン放出や近位尿細管Na再吸収を促進するため,降圧に伴う反射性頻脈や体液量増加を来しがたい.
6)BPLTTCのメタアナリシスでは,ACE阻害薬は冠動脈疾患の発症リスクを有意に抑制した.ACE阻害薬は組織プラスミノーゲン活性化因子(t PA)の産生を増加させることが報告されており,線溶系の活性化がその一因である可能性がある.

臓器保護効果

高血圧患者における心血管イベントや全死亡リスクの低減効果はARBと同様とされる.

心保護効果

1)多くの大規模臨床試験でもACE阻害薬は心筋梗塞後の心血管合併症を減少させ生命予後を改善することが示され,心筋梗塞の二次予防に対する効果は明らか.
→日本循環器学会の『心筋梗塞二次予防に関するガイドライン』では,心筋梗塞の二次予防効果目的におけるRA系阻害薬の第一選択はACE阻害薬であり,ARBの使用はACE阻害薬に対する忍容性がない場合に限られるとされている.
2)CKD患者での心血管イベントも抑制するが,ACE阻害薬では全死亡の抑制効果も認められる.

腎保護効果

1)腎臓においては糸球体輸出細動脈を収縮するAngⅡの産生を抑制するため,輸出細動脈を拡張して糸球体毛細管圧の上昇(糸球体高血圧)を改善し,蛋白尿を減量させ,腎障害の進行に効果的.
2)ARBと同様に,CKD患者やDKD患者での末期腎不全への進行を抑制する.

その他

1)脳血流自動調節域の下限を下げるため,降圧に伴う脳血流の低下が起こりにくく,高齢者や脳血管疾患後にも用いやすい.
2)糖尿病患者においても,降圧に加え,インスリン抵抗性の改善や腎症,網膜症,神経症の進展を抑制する効果が期待される.

使用法

多くが腎排泄性であり,腎障害時は少量から投与する.
他の副作用,注意点は,基本的にARBと同様.

副作用

空咳

1)最も多いのはブラジキニンやサブスタンスPの増加による空咳で,20%~30%に投与1週間から数か月以内に出現するが,中止により速やかに消失する.
2)空咳は,日本人を含む東アジア人に多いとされており,そのため本邦におけるACE阻害薬の最大投与量は欧米と比較し少量に設定されており,このことが降圧効果にも関係している.
3)鎮咳薬の投与などによっても継続することが多い.
4)咳の誘発がACE阻害薬を服用する高齢者や脳血管疾患後の誤嚥性肺炎を防止するとの報告もある.

血管神経性浮腫

1)まれではあるが,重要な副作用として血管神経性浮腫がある.
2)最近,使用頻度が急速に増えているのが,2型糖尿病治療薬のDPP-4阻害薬との併用で,血管神経性浮腫が増加するとの報告がある.
3)投与開始初期(1週間以内)に注意し,血管神経性浮腫が起こった場合,呼吸困難により重篤化することがあるため,ただちに投与を中止し,適切な処置をとる必要がある.

腎機能障害,高K血症

ARBを参照

アンジオテンシン受容体遮断薬 angiotensin receptor blocker;ARB
1)本邦ではCa拮抗薬に次いで使用されている.2)単独もしくはCa拮抗薬,利尿薬と併用され,Ⅰ度~Ⅲ度の高血圧...

その他

発疹,味覚障害,白血球減少,貧血など

デキストラン硫酸固定化セルロース,トリプトファン固定化ポリビニルアルコール,またはポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中,あるいはアクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた血液透析中の場合は,ショックやアナフィラキシー様症状を発症する危険があるため,禁忌.

シラザプリルは肝硬変のある患者では過度の血圧低下を起こすことがあるので使用しない.

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