血管性浮腫 angioedema(Quinke浮腫)

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なすび医学ノート

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皮下または粘膜下組織に突然発症する限局性の一過性浮腫腫脹.

1882 年にQuinckeが報告したのが最初とされ,Quincke浮腫とも呼ばれる.

血管性浮腫の原因として,HAEや物理的刺激,ACE阻害薬,非ステロイド性抗炎症薬ならびにペニシリン系抗菌薬等の薬剤性,他にもアレルギー性,好酸球性,後天性ならびに特発性血管性浮腫が挙げられる.

遺伝性血管性浮腫 hereditary angioedema;HAE

HAEの情報サイト(他サイト)

C1 エステラーゼインヒビターの欠損もしくは機能低下を特徴.
→補体系・カリクレイン-キニン系などを十分に抑制できなくなる.
→過剰濃度となったブラジキニンが,ブラジキニンB2受容体と結合して血管拡張や血管透過性亢進を引き起こすことで,皮膚・消化管・喉頭などに局所的な血管性浮腫が生じると考えられている.

薬剤誘発性血管性浮腫

薬剤誘発性血管性浮腫ではACE(angiotensin converting enzime)阻害薬,NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬),エストロゲン製剤などが原因となる.

ACE阻害薬

ACE阻害薬服用者における血管性浮腫の頻度は0.1~0.5%であり,他の薬剤性の血管性浮腫に比べ頭頸部に腫脹がみられることが多い.

薬剤服用開始から症状出現までの期間は1 日から5 年以上の報告があるが,外傷,喫煙,歯科治療,感染症などをきっかけとして発症する可能性がある.

65歳以上,女性,喫煙,アスピリン,NSAIDs併用を危険因子に挙げている報告もみられる.

ACEはブラジキニンの分解酵素の1 つでありACEの阻害により組織中に増加したブラジキニンがNOの産生,cyclic-GMPの増加を惹起する.
→その結果生じた血管拡張,透過性亢進が血管性浮腫の原因の1 つと考えられている.

原因薬剤は,エナラプリルが10 例(45%),イミダプリルが4例(18%),リシノプリルが3例(14%)であり,いずれも長時間作用性薬剤に多い傾向を認める.
・短時間作用型よりも長時間作用型の方が血管性浮腫の発現率が高く,重篤化しやすいとされている.

キニン代謝に影響を与えないARB(angiotensin-receptor blocker)では血管性浮腫が生じないと考えられるが,近年ではARBによる血管性浮腫の報告もみられる.

Ca拮抗薬

作用機序は血管性浮腫と異なり,末梢動脈における血管拡張作用が静脈での作用に比べて強いため,細動脈の拡張に細静脈の拡張が伴わず,毛細管内圧が上昇し,濾過が促進されるためと考えられている.

左右対称性の軽度から中等度の下腿浮腫が多いとされる.

症候

非対称性に生じ,発生部位に特異性はないが,眼瞼,口唇,咽頭,喉頭,四肢ならびに消化管に多いとされる.

浮腫は皮膚の深部に生じ,浮腫の境界は不鮮明であり,圧痕を残さないという特徴がある.

軽症では軽度の浮腫がみられるのみだが,重症例では喉頭浮腫による呼吸困難,消化管浮腫による腹痛を伴う.

診断

HAEを疑う症候

皮下浮腫
粘膜下浮腫(痒みを伴わない,あらゆる部位)
消化器症状(腹痛・吐き気・嘔吐・下痢)
喉頭浮腫
精神的ストレス
外傷や抜歯
過労などの肉体的ストレス
妊娠・生理・薬物などによる発作の誘発
家族歴
好発年齢10~20歳代など

HAEの鑑別のため,スクリーニング検査として血中C4とC1-INH活性の測定を行う.

治療

喉頭浮腫発生前に診断をつけることが重要.
・喉頭浮腫は症状出現から窒息状態まで早くて20分とされている.

遺伝性血管性浮腫

発作時の治療の基本は,C1インヒビター補充療法(50kg以下:500単位,50kg以上:1000-1500単位 静注)が望ましいが、入手困難な場合はトラネキサム酸(15mg/kg 4時間毎)を選択する場合もあり得る.

イカチバント

選択的ブラジキニンB2受容体拮抗薬

5つのタンパク非構成アミノ酸を含む合成デカペプチドであり,ブラジキニンB2受容体に対して,ブラジキニンと同程度の親和性で選択的かつ競合的に拮抗する.
→ブラジキニンB2受容体を介するブラジキニンの作用を阻害して浮腫の肥大化を低減する.

18歳以上のHAE患者を対象とした第3相臨床試験で,有効性と安全性が確認された.

自己注射も可能な皮下注製剤であることから,患者の負担軽減・QOL向上の観点からも有用な薬剤として期待されている.

薬剤性

原因薬剤の中止が第一であり,ステロイド薬や抗ヒスタミン薬の有効性に関して明確なエビデンスはない.

ACE阻害薬による血管性浮腫では72 時間以内に多くの症例において舌の腫大の改善がみられるが,58%で呼吸困難,気道閉塞所見がみられ,重症化すれば気管切開を必要とする.

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