運動後急性腎不全 acute renal failure with loin pain and patchy renal ischemia after anaerobic exercise;ALPE

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なすび医学ノート

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短距離の全力疾走など、激しい運動の後に、強い背腰痛を伴って発する非ミオグロビン尿性急性腎不全.

激しい運動に誘発される急性腎不全は,登山・マラソンなど,長時間の強度の運動によるミオグロビン尿性急性腎不全が知られる.

著明な横紋筋融解が認められるが,ALPEは短距離の全力疾走のような無酸素運動の後に起こり横紋筋融解は軽度.
→血清ミオグロビン、クレアチニンホスホキナーゼ(CPK)はそれぞれ基準値の7倍以内,9倍以内

激しい背腰痛を伴う.

特徴

①健康な若い男性に発症しやすい.無酸素運動の繰り返しで発症し,再発例も多い.

②発症のrisk factor
・風邪気味で運動前に鎮痛薬を服用した患者
・腎性低尿酸血症患者(riskが約50倍高いと考えられている)

③平均5日間持続する激しい背腰痛を伴う.
・痛みはしばしば尿路結石と間違えられる.

④造影剤投与後の腎単純CT(delayed CT)で,両側に楔形の造影剤残存.
・この残存は1~3日間続く。

⑤非乏尿性で,多くの場合予後が良好であるが,透析が必要な例もある.

疫学

173例を分析すると・・・
・平均年齢は22歳,男性が93%.
・かぜ気味で運動前に鎮痛解熱剤を服用していたのは31%
・症状は強い背腰痛(平均5日持続)の他,嘔吐・嘔気が94%,微熱が78%.
・初診時の血清クレアチニン値 4.0mg/dL
・腎造影の数時間~数日後に単純CTで両腎の楔形の造影剤残存が特徴的で95%.
・血清ミオグロビン,CPKの平均値は正常範囲か2倍程の軽度上昇.
・多くの例で低尿酸血症がある→腎性低尿酸血症はALPEの危険因子
・乏尿の頻度は18%.
・大半は予後良好.血液透析をした症例は約20%.
・再発例は19%,腎機能低下は平均14日続く.

原因

無酸素運動

タイプ2の骨格筋線維(白筋、速筋)が使われ,筋線維が損傷された結果,何らかの血管作動性物質が放出され,腎の循環障害・血管攣縮を生じさせるとの仮説があるが,発症機序は不明.

一般に運動時には,血流が筋組織に奪われ腎血流は低下し,その傾向は筋肉量の多い若年者で顕著となる. 

低尿酸血症

活性酸素のスカベンジャーである尿酸が少ないため,腎血管が活性酸素の影響を受けやすいのではないかと考えられている.
→尿酸による抗酸化作用が低下し,運動時に増加した活性酸素が処理できず,それが直接血管内皮細胞
中のサイクロオキシゲナーゼを不活化し、血管を収縮させる.

病態

身体所見

使用した四肢筋に疼痛・圧痛は認めないが,CVAに叩打痛を認めることが多い.

脱水ははっきりしないことが多く,受診が2~3日遅れた場合はむしろ体液過剰のことがある.

微熱のある例が多い.

血液検査

運動後12時間すると,血清クレアチニン値はすでに上昇している.

血清CK値は基準値内か基準値上限の9倍以内で,横紋筋融解があってもごく軽度.

ALPEの20~30%の症例に腎性尿酸血症。
⇒尿酸値が低い(最大で7mg/dL,回復期は1mg/dL未満)

診断

鑑別診断

腰痛・背部痛・腹痛⇒尿路結石

腰痛・背部痛・腹痛+嘔気・嘔吐⇒急性胃腸炎、食中毒、急性膵炎

腰痛・背部痛・腹痛+検尿異常(尿潜血・尿蛋白)⇒急性糸球体腎炎、腎炎症候群

腰痛・背部痛・腹痛+検尿異常(尿潜血・尿蛋白)+微熱⇒急性腎盂腎炎

治療

急性腎不全の程度を判定し,volumeの評価.
・脱水があれば,補液.
・溢水があれば,水分制限.

平均3週間で血清クレアチニン値はほとんどの症例で正常化する.
・20%の症例では乏尿があるので,必要があれば血液透析も念頭に.

鎮痛薬はNSAIDsは使用しない.
→激しいときは中枢性の鎮痛薬,ソセゴン・レペタンなどを使用する.

治療後も再発しやすい(腎性低尿酸血症に多い)
→腎性低尿酸血症がないかを必ずチェックする.

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