急性リンパ性白血病,急性リンパ芽球性白血病(ALL)

医学ノート(なすび用)

acute lymphoblastic leukemia;ALL

フィラデルフィア(Philadelphia;Ph)染色体と呼ばれる9番染色体と22番染色体の相互転座t(9;22)を持つPh+ALLと,Ph染色体陰性のPh-ALLに大別される.

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病態

Ph+ALL

9番染色体上のABL1と22番染色体上のBCRが融合してBCR-ABL1を作るが,この蛋白が強いチロシンキナーゼを持つために白血病が発症する.

治療

成人と小児で大きく異なる.
・小児ALLでは多くの例で長期生存が得られるのに対して成人ALLの治療成績は不十分.

Ph+ALLではほぼ全例に,Ph-ALLでも約70~80%に寛解(CR)が得られるようになったものの,長期予後はまだ十分ではない.

Ph染色体/BCL-ABL1陽性ALL(初発)

非高齢者

でチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor;TKI)+化学療法が基本.
・CMLでは単独であるが,ALLでは化学療法との併用/同種造血幹細胞移植まで含めた総合的治療が行われる.
・強力化学療法による治療関連死亡を避けるためにステロイドとTKIで寛解導入を図り,地固め療法でと維持療法でTKIと化学療法を併用することもある.

TKIは,第1世代イマチニブと第2世代ダサチニブが保険適応.
・ダサチニブの方が抗腫瘍効果が強く,中枢神経への以降が良いが,治療効果はほぼ同等.
・ダサチニブ耐性のT315I変異の出現例は予後不良(ポナチニブは有効).

寛解率はほぼ95%を達成するようになっているが,再発を認めることがあるため,寛解例でも同種造血幹細胞移植を行うことが多い.
従来の化学療法では極めて治療抵抗性で,5年生存率は15%程度であったが,TKIが登場してからは3年全生存割合は80%程度となっている.

高齢者

強力化学療法を施行できないため,TKI+ステロイドが推奨される.
再発が多く,予後不良.

同種造血幹細胞移植

CR1での同種造血幹細胞移植は標準治療に位置付けられており,行うことが多いが,TKI+化学療法との予後の差は認められていない.

同種造血幹細胞移植後のAKI維持は現場で行われることが多いが,その意義はまだ確立していない.

Ph陰性ALL(初発)

化学療法

小児ALLが成人ALLより予後良好である理由の一つに,化学療法でL-アスパラギナーゼ(L-asparaginase;L-ASP),ビンクリスチン,メトトレキサート(MTX)が多く使われ,さらに早期から中枢神経系再発予防が行われているためと考えられている.

強力な化学療法に適応できると考えられる年齢(~40歳)に対しては,さらに治療強度をあげ,小児ALL治療と類似の化学療法が行われるようになっている.
*成人ではL-ASPによる肝障害・血栓症・膵炎などの有害事象の頻度が高いことが,障壁となっている.

同種造血幹細胞移植

移植後のQOL低下を考慮し,第1寛解期(CR1)では化学療法が優先される傾向にある.

予後不良な染色体t(4;11)陽性症例,初めの1週間で骨髄中の白血病細胞が5%以上残存した症例,寛解導入に救援療法を必要とした症例などでは,同種造血幹細胞移植の優位性が示されている.

予後不良因子

初診時白血球数(白血球数≧30,000μ/L)

白血球数≧30,000μ/Lが予後不良.

年齢(35歳以上)

年齢が高くなるにつれ寛解率が低下し,再発率と治療関連死亡も増加する.

染色体・遺伝子

Ph染色体,t(4;11)などのKMT2A領域を含む再構成,複雑核型,低2倍体が予後不良な染色体として知られる.

高2倍体,t(12;21)は予後良好な染色体→成人より小児に多い.
t(1;19)は,最近は予後良好と考えられている.

Ph-like ALL
・Ph染色体陰性にも関わらずPh+ALLと類似の遺伝子発現プロファイルを示す.
・成人では約9割でキナーゼ活性が亢進しており,その過半数はサイトカインレセプターの一種であるCRLF2の過剰発現.
・通常の化学療法では予後不良.

CRまでの治療回数(2コース以上)

無病生存率は短いが,強い予後不良因子ではない.

L-ASPの投与量(実投与量が少ない)
微小残存病変 minimal/measurable residual disease;MRD

成人ALLにおいてはCR到達時にMFCでMRD陰性(<10-4)群がMRD陽性群に比べて,無病生存期間,全生存期間ともに良好と報告されている.

再発難治ALL

抗体薬による救援療法

2018年に2種類の抗体薬が,再発・難治B-ALLに適応を取得した.

イノツズマブ オゾガマイシン Inotuzumab ozogamaicin;InO

抗CD22抗体(イノツズマブ)に抗腫瘍薬オゾガマイシンが結合した抗体薬.

週1回投与ですむ.

それでも2年生存率は22.8%であり,CRになっても可能であれば同種造血幹細胞移植が推奨される.
InO治療後に同種造血幹細胞移植を行うと,肝中心静脈/類洞閉塞症候群(VOD/SOS)の発症頻度が高く,それによる死亡率も高い.

ブリナツモマブ blinatumomab

CD19・CD3に対する抗体の可変部のみを結合したbispecific T cell engager(BiTE)抗体薬.

薬剤としてCD3とCD19に対する二重特異性抗体可変部を投与することで,患者体内でCD19陽性ALL細胞と自らのT細胞とを近接させ,T細胞の活性化を通じてALL細胞を破壊する.

CR率は約40~80%.そのうち,MRDが陰性になるのは60~100%.
それでも,生存期間は7~15ヶ月程度であり,速やかな移植が勧められる.

サイトカイン放出症候群(CRS)がみられることがある(4.9%)

遺伝子改変T細胞療法 Chimeric Antigen Receptor (CAR)-T Cell Therapy;CAR-T療法

B細胞に発現しているCD19抗原を標的としたもので,患者T細胞にキメラ抗原T細胞受容体を導入する.
→正常T細胞に遺伝子導入することでCD19陽性細胞を攻撃するT細胞を作製し,患者体内に戻してALL細胞を破壊する.

受容体はCD19を認識するモノクローナル抗体の可変領域を持つ細胞外ドメイン,CD3・CD4・CD8などの膜貫通結合ドメイン,CD28・4-1BBなどの共刺激分子とCD3ζを細胞内シグナルとする構造からなる.
→現在,臨床で使われているのはCD28 or 4-1BBの共刺激分子を組み込んだ第2世代CAR-T.

本邦での適応は,25歳以下の再発,難治性CD19陽性B-ALL.

CRとCRiを合わせた率は約80~90%と極めて良好であるが,生存期間中央値は13ヵ月との報告.

腫瘍量が多い症例では,CRS,神経障害が発症しやすい.

化学療法による救援療法

CR率は20~40%,長期生存率は極めて低い.

治療には,Hyper-CVAD/MA療法と,シタラビン(Ara-C)を骨格にした治療が使われている.

ネララビン
再発 or 難治性のT-ALLに適応を取得.
ネララビンの代謝産物であるara-GTPはDNAポリメラーゼを阻害して細胞死を誘導するが,T細胞内ではB細胞内に比べてara-GTPの細胞内濃度が20~40倍高値を示すため,T-ALLに効果が期待されている.
CR率は約30%,1年生存率も30%未満.

医学ノート(なすび用)
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なすび院長

勤務医に疲れ,定期非常勤と投資でなんとかしのごうというひっそり医.
好きな分野は,糖尿病・腎臓病です!(゚∀゚)

ネット上で念願のなすびクリニックを作るも,今日も改装中で,いつ再開するのやら・・・
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