急性間質性腎炎 acute interstitial nephritis;AIN

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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○腎病理所見で間質に著明な細胞浸潤と浮腫性変化が認められるもので,浸潤細胞は主としてT細胞,単球からなっているが,形質細胞や好酸球が多数認められることもある.
○浸潤細胞は尿細管周囲に接して配列し,時には尿細管基底膜を破壊して上皮細胞間に侵入する尿細管炎tubulitisの所見が認められる.

病態生理

○急性間質性腎炎の蛍光抗体法所見や浸潤細胞の解析から,発症機序として,抗尿細管基底膜(TBM)抗体の関与,免疫複合体の関与,細胞性過敏反応cell-mediated hypersensitivity,即時型(IgE型)過敏反応immune-mediated (IgE type) hypersensitivityなどが想定されている.

○急性間質性腎炎の誘因,基礎疾患は多岐にわたるが,大きく分けて,1)感染症に起因するもの2)薬剤性に起因するもの 3)自己免疫疾患に伴うものがある.
・これ以外にも抗尿細管基底膜(TBM)抗体陽性の特発性急性間質性腎炎がある.

感染症に起因するもの

○腎実質への直接感染によるもの(急性腎盂腎炎)と,微生物への免疫反応が腎実質と交叉免疫となり腎炎を発症するものがある.
・前者は一般細菌,真菌,結核菌に加え各種のウイルスも原因となる.
・後者では猩紅熱,ジフテリア,ウイルスの関与が知られている.

薬剤性に起因するもの

○薬物性腎障害の発症機序には直接型と過敏型とがある.
・直接型は薬物の量依存性尿細管障害であり,尿細管壊死がみられる.
・過敏型では急性間質性腎炎を呈する.

○過敏症が原因と考えられる急性薬物性間質性腎炎は近年増加する傾向にあり,原因となる薬物として,メチシリンなどのペニシリン系をはじめとする各種抗菌薬,インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬,ワーファリンなどの抗凝固薬,降圧薬,尿酸代謝阻害薬など,数多くの報告がみられている.

自己免疫疾患に伴うもの

○Sjögren症候群に伴う急性間質性腎炎が多いが,ループス腎炎に急性間質性腎炎を伴うこともある.

尿細管間質性腎炎・ブドウ膜炎症候群 tubulointerstitial nephritis-uveitis syndrome;TINU syndrome

・ぶどう膜炎を伴う原因不明の間質性腎炎.
・鑑別としては全身性エリテマトーデスなどの膠原病,ベーチェット病,サルコイドーシス,原田病などの膠原病類縁疾患,トキソプラズマ/溶連菌/Epstein-Barrウイルス/サイトメガロウイルス等の感染症が挙げられる.
・発症機序は明らかではないが,細胞性免疫,特に遅延型過敏反応が関与しているともいわれている.

症候

○病変の程度により無症状のものもある.
○発熱,皮疹,好酸球増多が3徴候とされるが,これをすべてそなえる症例は1/3に満たない.
○発熱や関節痛などの非特異的症状のほかに,側腹部痛や腰痛を訴えることが多い.

検査所見

○血尿は必発であるが蛋白尿は軽微で,無菌性膿尿を伴うことが多い.
○糸球体病変を合併していなければ尿蛋白は軽度であり,通常1 g/日以下の低分子蛋白を主体とする尿細管性蛋白尿(α-1ミクログロブリン,β-2ミクログロブリン)がみられる.
・非ステロイド性抗炎症薬による薬剤性腎障害の場合は3 g/日以上の蛋白尿を認めることがある。

○尿細管障害マーカー(NAG)の尿中増加および尿沈渣上血尿,白血球尿を認めれば本症が強く疑われるが,確定診断には腎生検による特徴的組織所見の確認が必要である.

○薬物過敏による急性間質性腎炎では,好酸球増加,血清IgE高値のほか,尿中への好酸球の出現がみられることが多い.

○病変の広がりにつれ,GFRの低下,さらには急性腎不全を呈するが,間質病変が主体であることから非乏尿性急性腎不全が多い.
・病変が著しい場合には乏尿性急性腎不全となり,透析が必要な場合もある.

画像診断

○X線や超音波検査で腎の軽度の腫大を認めるほか,67Gaシンチグラムで腎への集積像などが参考となる.
・薬物性の場合には疑わしい薬物によるskin testやリンパ球刺激試験も診断の助けとなる.

診断

○本症の確定診断は腎生検による腎組織所見が不可欠である.
病理(他サイト)

○糸球体には著明な変化を認めず,腎間質の浮腫,リンパ球および形質細胞ときに好中球や好酸球の浸潤を認める.
・間質の線維化は著しくない.
・尿細管基底膜の構造は不明瞭あるいは断裂し,尿細管上皮下や尿細管腔内へリンパ球が浸潤することがあり,これを尿細管炎(tubulitis)とよび,急性間質性腎炎の有力な所見である.
・尿細管周囲の毛細血管にリンパ球,形質細胞などが多数認められることがある.

治療

○感染症に起因する急性間質性腎炎では抗菌剤投与による感染の鎮静化が最も重要.

○薬剤性急性間質性腎炎では,原因薬剤の中止が第一であるが,原因薬剤不明の場合や関与の疑われる薬剤中止によっても腎機能改善が得られない場合には副腎皮質ステロイド剤が投与される.
・治療開始が早いほど治療効果も得られやすい。

○抗TBM抗体陽性例や急性間質性腎炎を伴ったループス腎炎では血漿交換も試みる価値がある.

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