急性巣状細菌性腎炎 acute focal bacterial nephritis;AFBN

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なすび医学ノート

個人的なまとめノートで,医療情報を提供しているわけではありません.
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腎臓の急性の局所細菌感染による,液状化を伴わない腎実質の炎症性病変.

急性腎盂腎炎の重症亜型で,腎膿瘍との中間に位置する病態であると位置づけられている.

疫学

小児科領域では広く知られる病態で,成人では稀な疾患であるとされてきた.

基礎疾患の有無,年齢層にかかわらず発症するが,成人では女性に多い.
*背景に糖尿病や肝硬変などを合併している例が多いとされる.

 病態

培養検出菌の83% がE.coli であり,ほかにKlebsiella species,Proteus mirabillis,Serratia marcescens などのグラム陰性桿菌が同定されたと報告されている.

尿路からの逆行性感染の可能性が高い.

3割の症例で腎機能低下をきたす.
腎機能障害の原因として,腎臓内に感染巣ができることで腎臓内部の間質圧が上昇し血液灌流が不十分になる可能性,感染巣による侵襲で腎組織が傷害された可能性,などを考えられる(前者の可能性が高い).

症候

臨床症状としては発熱・側腹部痛など急性腎盂腎炎と似た症状を高頻度で認めるため,初期症状のみでは鑑別が困難であるが,尿培養陰性例が存在することや両側に病変が存在するなどの特徴的な所見が報告されている.

検査

培養

3割程度に尿の感染所見を認めない.

尿・血液培養はそれぞれ6割,3割程度の陽性率.

腹部エコー

病変は低エコーの乏血流領域として描出され,Advanced Dynamic Flow を用いるとブルーミング(血流のはみ出し)が少なく微細な血流を分離して観察することができる.

副作用なく繰り返し施行できるという利点がある.

超音波検査は病変の見逃しによる偽陰性が多く,38% が偽陰性であったとの報告がある.

造影CT

境界不明瞭の造影不良域を認める.
・造影不良域は腎動脈分枝の血流支配領域にとどまっておらず,cortical rim sign(皮質が皮膜に沿って帯状に造影効果を保つ)は陰性(腎梗塞,腎膿瘍の鑑別ポイント).

治療開始2~2.5週間程度であれば炎症反応や腎機能が改善してきても造影CTでの描出は可能である症例は多い.

治療

培養検査の結果が判明する前にempiric therapyを開始する場合は,グラム陰性桿菌が起因菌である頻度が高いため,第2,3世代セフェム系やニューキノロン系の抗菌薬を選択し,重症例やハイリスク患者にはカルバペネム系抗菌薬を考慮するのがよいと考えられる.

抗菌薬の投与期間としては,2 週間の抗菌薬投与では17%に治療失敗がみられ,腎膿瘍への発展防止と再発予防のために約3週間の経静脈的投与を推奨するとした報告がある.

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