急性虫垂炎 acute appendicitis

スポンサーリンク
なすび医学ノート

異物や糞石 などが原因で,虫垂内の閉塞がおこり,二次的に細菌感染を起こす化膿性の炎症

俗にいう盲腸

虫垂

虫垂は盲腸から起始し,腹腔内に突出する紐状あるいは指状の盲端状消化管

長径は5~12cm,平均で約7cm,直径は3~8mmで,直径が最大になるのはリンパ装置が最も発達する4歳前後といわれている.

CT画像で虫垂を同定
1)右側腹部にある上行結腸を同定し,尾側に走行を追い,回盲弁を見つける.
2)尾側にある盲腸から出る盲端状の管腔構造物が虫垂.
*虫垂の走行にはバリエーションがあって報告により様々.

病態

細菌は大腸菌,連鎖球菌などに嫌気性菌が同時に検出されることが多い.

病型として,以下のように分類する.
1)カタル性虫垂炎(単純性) appendicitis cataralis
2)蜂窩織炎性虫垂炎(化膿性) appendicitis phregmonosa
3)壊疽性虫垂炎 appendicitis gangrenosa

症候

自覚症状

悪心と腹痛
典型的なものは悪心を伴う心窩部痛から始まり,やがて徐々に右側腸骨窩部(回盲部)に移る.
・進行性.
・悪心を伴わないもの,最初から臍周囲の痛みや右側腸骨窩部痛(虫垂が盲腸後方に位置するとき)で発来するものもある.
・どこといって表現できない全般的な腹痛を訴える人もいる.
・体動,歩行によって増強すれば病状は進行している.

食欲不振
・舌の白苔,口内臭,食欲不振,発熱,頻脈も付随症状として大切である.
・食欲不振は必ずみられ,発症の時期に一致する.

身体所見

圧痛点

圧痛点を中心としたびまん性(diffuse)な痛みがあるのか,これらの点の1点に最強の痛みを感じるのか(one point palpation)をしっかり見極める

McBurney点

Lanz点

Kuemmel点

腹膜刺激症状

炎症が進んでくれば以下の症状を呈する。
1)悪心,嘔吐,下痢,頻尿
2)rebound tenderness(Blumberg’s sign):圧痛のある部位で,強く腹壁を手で圧迫しておいて,急に手を離すと疼痛が増強する。
3)腹壁の筋性防御(muscular defense)

その他

1)Rovsing’s sign:左側腸骨窩部を強く圧迫すると,回盲部に疼痛が起こる.
2)Rosenstein’s sign:左側臥位をとらせたときのほうが右側腸骨窩部の圧痛が著明となる.
3)反跳圧痛(heel-drop jarring test):つま先立ちして,踵を床にうちつけるようにすると,右側腸骨窩部に痛みがひびく.
4)cough test:咳をさせると右側腸骨窩部に痛みがひびく.

骨盤腔の炎症波及

・下痢が起こることがある.

1)iliopsoas sign:右腰部を屈伸させ,腸腰筋を動かすと右腸骨窩部に疼痛をみる.
2)直腸指診:直腸の右側に圧痛がある。女性では内診により女性器疾患と鑑別できる.
*虫垂の蓄膿した先端が腹壁のほうに向かって立ち上がった形を呈している場合には,診断が比較的容易である.しかし炎症の中心が虫垂根部にあるときや,虫垂が盲腸裏面に向かっているときには重症度の判断が難しい.腹壁を強く圧迫し,深い位置に圧痛のみられるときは後腹膜のほうに虫垂の炎症部が位置していると考えられる.回盲部に腫瘤を触れた場合は盲腸周囲膿瘍を疑う.

血液検査

白血球数
・初期から増加し,症状の進行状態と平行することが多い.
・通常は10,000~20,000程度の増加であり,それ以上の場合は他の疾患も考慮する.

尿検査

・尿管や膀胱に虫垂が近接すると,ときに顕微鏡的血尿をみる.
・飲み物をとっていないことも多いので,ケトン体,尿比重も確認.

腹部単純X線撮影

・回盲部に限局する小腸ガス像や右腸腰筋陰影の消失をみることがある.
・腸閉塞,尿管結石など他疾患の鑑別にも有用である.

超音波エコー

・患者への侵襲が少なく,外来や病棟で容易に行える検査である.
・正常の虫垂は描出されないが,蜂窩織炎まで進展すると描出されることが多い.
・直接所見としては腫大した虫垂像,虫垂壁の肥厚,虫垂内腔の液体貯留,糞石の存在などがあげられる.
・炎症が周囲に波及すると,回盲部腸管壁の肥厚,回盲部周囲の膿瘍像などが認められる.
・正常の虫垂は描出されないことが多く,描出されても横断径が6mm以下であれば手術適応とはならない.
・腫大した虫垂,虫垂周囲のeffusionなどがわかる.
→描出されれば開腹判断の大きな手がかりとなる.

虫垂が抽出されなくても,
1)下痢がないのに上行結腸が拡張し,泥状便や水様便を認める
2)虫垂近くの回腸の拡張
3)上行結腸の限局性浮腫
4)回盲部付近の浮腫
などは虫垂炎を強く示唆する所見とされる.

腹部CT

単純CTのみでも虫垂炎診断における高い感度や特異度が報告されているが,通常は単純と造影CTを行う.

虫垂のサイズ(拡張は外径6mm以上:ただし正常例との重複があり絶対値ではない)や,虫垂壁の増強効果,周囲脂肪織吸収値上昇,液体貯留,糞石の有無などに注意して読影を行う.

盲腸周囲膿瘍,婦人科疾患,尿管結石などとの鑑別に有用で,多くの情報が得られる.放射線被曝を考慮し,妊婦や小児では慎重に実施する.

治療

手術

・穿孔を起こさないうちに,手術しなくてはならない.

手術適応の目安

1)右腸骨窩部の強い限局した圧痛(one finger palpation)
2)筋性防御やBlumberg’s signのあること
3)白血球数1万/mm3以上
4)虫垂炎が原因と思われる発熱
5)腹部膨満感の訴え
6)エコー,あるいはCT上,虫垂腫大あり

抗生物質

セフメタゾールナトリウム(セフメタゾン®)

症状が軽く自宅で経過観察させる時

この際には抗生物質を投与して,必ず再診するように伝える.

タイトルとURLをコピーしました