キャッスルマン病 Castleman disease;CD

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なすび医学ノート

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リンパ節の病理組織像によって特徴づけられる,原因不明の多クローン性のリンパ増殖性疾患.

病変が1つの領域に限局する単中心性(限局型)と,複数の領域に広がる多中心性に分けられ,これらは臨床像や治療法が大きく異なる.

単中心性キャッスルマン病 unicentric CD;UCD

キャッスルマン様の病理組織を示す単一局所領域のリンパ節病変によるものでhyaline-vascular型が多く,炎症症状は軽度で外科的リンパ節切除によって軽快する.

リンパ節の腫大以外には自覚症状に乏しく,画像検査などで見つかることも多い.
・病変部位は,縦隔や肺門などの胸部領域・頭頸部領域などに好発するとされている.次いで腹部,後腹膜の順だが頻度は低い.
・リンパ節腫瘤は長径 5~6 cm程度のことが多い.
・病変リンパ節部位が1か所に限局していることと,病理組織所見(多くは硝子血管型)によって診断する.

多中心性キャッスルマン病 Multicentric Castleman Disease;MCD

plasma cell型が多く,HHV8(human herpes virus 8)によるもの(HHV8関連MCD)と,HHV8陰性の特発性MCD(idiopathic MCD:iMCD)がある.
・ともに高IL-6血症による発熱やリンパ節腫脹,貧血などの臨床症状を呈し,多くの場合,慢性の経過をとる.

リンパ節腫脹(表在性が多数),肝脾腫,発熱,倦怠感,盗汗,貧血がみられ,ときに皮疹,浮腫,胸腹水,腎障害,リンパ球性間質性肺炎などの多彩な症状を呈する.

血液検査では、正~小球性の貧血,多クローン性の高γグロブリン血症,低アルブミン血症,高CRP血症,多くの症例で血清ALP高値を示すが,LDH は正常~低値のことが多い.
・IL-6 高値がみられ,血漿中の VEGF も高値を示す.
・血小板は炎症を反映して増加していることが多いが,減少を認める場合もある.

FDG-PET では多発性のリンパ節腫大がみられるが,悪性リンパ腫に比べて FDG の取り込みは弱い.

HHV8関連MCD

HIV感染や免疫不全症に伴ってみられHHV8がコードするウイルスIL-6やヒトIL-6が病態を形成している.

特発性MCD idiopathic MCD;iMCD

リンパ節病理像(血管増生型、形質細胞型、混合型)と全身性の炎症症状を特徴とし,HHV8関連MCDや症状が類似する感染症・自己免疫疾患・悪性腫瘍・POEMS症候群などを除外したうえで診断される.

病態

組織学的には,硝子化と濾胞間血管増生が特徴的なhyaline vascular type,形質細胞の増生と大型胚中心を有する濾胞が特徴的なplasma cell typeならびにそれらの混合型に分類される.
・UCDの90%はhyaline vascular typeであり,MCDの多くがplasma cell typeと報告されている.

hyaline vascular type

ほとんどが無症状であり,症状があっても,局所の圧迫症状等であるため,検診等で偶然発見されることが多い.

plasma cell type

IL-6を過剰産生することによって,発熱や食思不振,全身倦怠感等の全身症状や,貧血,CRP高値ならびに多クローン性γグロブリン血症等の検査値の異常を認めることで発見される.

好発部位としては,縦隔や肺門等の胸部領域及び頭頸部領域.

画像

超音波検査では,表面平滑な類円形の比較的均一な低エコー腫瘤として認められる.

hyaline vascular typeでは,血管が豊富であるため,造影CTでは,早期濃染を認める充実性腫瘤が特徴的で,MRI(magnetic resonance imaging)では,T1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈する.

FDG(fluorodeoxyglucose)-PETでは,軽度から中等度の集積を認め,SUVの平均値は4.9(3.2~8.9)で悪性リンパ腫より低値が多いと報告されている.

plasma cell typeでは,特徴的な画像所見がなく,いずれにおいても,悪性リンパ腫や肉腫等の悪性疾患との鑑別は困難であるため,診断治療を目的に手術を行うことが一般的.

診断

2017年本邦の(仮)診断基準

A. 一つまたは複数の長径1cmを越えるリンパ節腫大が認められ,リンパ節又は臓器の病理組織所見がキャッスルマン病の組織型のいずれかに合致する.
硝子血管型:リンパ濾胞の拡大と胚中心の萎縮.硝子化を伴う血管増生.形質細胞は少ない。
形質細胞型:リンパ濾胞の過形成.濾胞間の形質細胞の著増.血管新生がみられることもある.
混合型:硝子血管型と形質細胞型の混合所見.

B. リンパ節腫大の原因として以下の疾患は除外されなければならない.
悪性腫瘍:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫,ホジキンリンパ腫,濾胞樹状細胞肉腫,腎細胞癌,悪性中皮腫,肺癌,子宮頸癌など
感染症:非結核性抗酸菌症,猫引っ掻き病,リケッチア感染症,トキソプラズマ感染症,真菌感染症,伝染性単核球症,慢性活動性EBウイルス感染症,HIV感染症など.
自己免疫疾患:SLE,シェーグレン症候群など
他のキャッスルマン病類似疾患:IgG4関連疾患,組織球性壊死性リンパ節炎,サルコイドーシス,特発性門脈圧亢進症など

なお,罹患リンパ節が一つである単中心性キャッスルマン病とHIV感染症でみられるHHV8関連多中心性キャッスルマン病を除外したものを特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)と診断する.

治療

治療法はUCDとMCDで異なる.

単中心性キャッスルマン病

外科的切除が第一選択であり,部分切除は病態を悪化させ,予後不良との報告もあるため,十分なmarginを確保し,完全切除することが重要.

多中心性キャッスルマン病

ステロイド療法や免疫抑制療法,化学療法等の確立した治療法がなく,予後不良とされてきたが,近年は,IL-6 の過剰産生に対し,ヒト化抗IL-6 受容体抗体のtocilizumabが有効であった例や,ヒトヘルペスウイルス8型が発症に強く関与しており,抗ウイルス薬による治療効果が認められたとする例も報告されている.

非重症例

トシリズマブ±ステロイド,リツキシマブ±ステロイド
・PR/CRであれば継続,あるいはトシリズマブ±ステロイド
・不十分であればリツキシマブ+ステロイド±免疫抑制剤
  PR/CRであれば免疫抑制剤±ステロイドを継続
  不十分であれば専門家の意見/免疫抑制剤
*免疫抑制剤はthalidomide, cyclosporine A, sirolimus, anakinra, bortezomib(本邦ではいずれも保険適応なし)など

重症例

トシリズマブ±高用量ステロイド.毎週評価する.
・PR/CRであれば継続しステロイドを減量する.
・不十分であれば化学療法を追加.
 不十分であれば個別治療、専門施設へ紹介、専門家へ相談

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